儚き想い、されど永遠の想い
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465部分:第三十六話 遂に来たものその六
第三十六話 遂に来たものその六
「他の国の人にはわからない様です」
「このお握りのよさは」
「感性、そして文化の違いで」
それによりというのだ。わからないのは。
「それはどうしてもです」
「そうなのですね」
「西洋人はパンで」
「では東洋は」
「支那人もパンを食べます」
まずは支那人から話す義正だった。
「包といいますが」
「あの中華街にもあるですね」
「はい、あれです」
「あの中のないお饅頭の様なものをですか」
「支那人は食べます」
それにだった。
「あとはその饅頭もです」
「お米とは限らないですね」
「それが支那人です。彼等はお米だけではないのです」
「国が広いからですか」
「食べるものも様々なのです」
他にはコーリャン等もあるが義正はそのことは話が複雑になり真理が混乱すると察して今は話さなかった。しかし支那人の主食は米だけではないことは述べたのだった。
そしてだ。さらにだった。
「あと土耳古や印度でもです」
「パンの様なものをですか」
「はい、食べます」
「ではお米だけというのは少ないのですね」
「そう思います。ですからお握りはです」
今の話の主役であるだ。それはどうかというと。
「本当に日本独自の」
「日本人の食べものですね」
「そうした意味で特別ですね」
そのお握りを食べながら話す義正だった。
「これは」
「そうなりますね。確かに」
「では。そのお握りを食べて」
「はい、それからですね」
「また春を見ましょう」
梅とは違うだ。別の春をだというのだ。
「今から」
「はい、それでは」
「そうです。春の訪れを教えてくれるのは梅だけではありませんでした」
「蒲公英達もまた」
「蒲公英。いい名前ですね」
義正はその名前にも笑みを向ける。
「思えば。非常に」
「ええ。優しく可愛らしい名前ですね」
「その姿に相応しいです」
野原に小さくささやかに咲いているその姿にだというのだ。
「そうも思えてきました」
「では今からそのお花を見ましょう」
こう話してだった。義幸を背負ってだ。
三人でその蒲公英に土筆、それにクローバーも見る。その中で義正は。
クローバーの中にそれを見つけた。四葉のものをだ。
それを見てだ。義正は笑みを浮かべ真理に話した。
「いいものを見つけました」
「クローバーですか?」
「はい、これです」
そのクローバーを摘み取って見せる。それを見せて言うのだった。
「このクローバーです」
「あっ、これは」
「四葉ですね」
「こうしたクローバーもあるのですか」
「滅多にないものです」
本来は三つ葉だからだというのだ。それが普通のクローバーだ。
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