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夢幻水滸伝

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第四十二話 西国統一その十二

「それ位のペースでいくんやな」
「そや、日本を統一して少ししたらな」
「いよいよ太平洋統一の戦やな」
「それがはじまるからな」 
 だからだというのだ。
「それ位にはな」
「完成させて」
「動かしてくで」
「そうして普通の星の子でも動かせる様にする」
「そうしてくわ」
 動力の方もというのだ。
「それでそうしたこともな」
「よりよく出来る星の子入れてか」
「やってくわ」
「建設とかそんな関係か」
「そっちや、そやから太宰の言う通りな」
「内政のそれぞれの専門入れてくか」
「どんどんスカウトしてくで」
 芥川もこう言ったのだった。
「丁度日本におるしな」
「在野でか」
「実は結構まだ在野の星の奴おるねん」
「それでその連中をやな」
「誘いかけてくんや、ここで大事なんはな」
「迅速かつ的確にやな」
 中里は芥川にこの二つの言葉で応えた。
「スカウトしてくんやな」
「そや、他の勢力に取られるより先にな」
「全員こちらに入れるか」
「そうして内政全般をどんどん充実させてくで」
「それでその連中がやがてやな」
「太平洋全体の内政もしてくからな」
「わかったわ、探してこちらに引き込んでいこうな」
「ほな明日から人材探しやな」
 綾乃は二人の話を聞いてから笑顔で述べた。
「そっちも頑張ってこな」
「そういうことでな」
「うちも頑張るわ、ほな今からな」
「お酒かいな」
「今夜も飲もな」
 笑顔で言ってそうしてだった、綾乃がぽんと手を叩くとすぐに宮廷の宮女達が酒に肴を持って来た。今夜の肴は枝豆に豆腐だった。
 三人でその酒と肴を囲んで飲みはじめてすぐにだった、綾乃は中里と芥川に言った。
「やっぱりお酒は美味しいな」
「綾乃ちゃん僕等がおらん時も飲んでたんかいな」
「毎晩飲んでたで」 
 否定しない言葉だった。
「こうしてな」
「やっぱりそうか」
「二升位か」
「二升ってめっちゃ飲んでるやん」
「ワインで五本とか」
 そちらの酒はそれだけだというのだ。
「飲んでるで」
「相変わらず酒豪やな」
「うち飲んでも全然酔わんし太らんし」
「そうした体質なんやな」
「糖尿病にもならんし」
「ほんまのザルやねんな」
「ほんまにそうした体質なんやろな」
 言いつつ杯の中の酒を空けてすぐに自分で入れてまた飲んでいく、その勢いは中里も芥川も遠く及ばない。
「うちはこっちの世界でも」
「起きてもかいな」
「それ前言うたと思うけど」
「そやったかな、僕等も飲めるくちやけどな」
「綾乃ちゃんは別格やな」
 芥川も飲みつつ言う。
「まさにうわばみや」
「大三輪神社のやな」
「それやな」 
 奈良県桜井市にあるこの社の神は酒の神でありその姿は蛇であるとされる。尚この世界にも大宮神社は存在している。
「綾乃ちゃんは」
「光の精でもそっちの力強いやろ」
「そういう娘やねんな」
「そう思ったわ、しかも神具で八岐大蛇おるし」
「あいつも酒に縁あるしな」 
 日本神話で書かれている通りである。
「とはいってもあいつは酔い潰れて負けたけどな」
「そこはちゃうけどな」
「酒に縁あることはあるからな」
「綾乃ちゃんがここまで酒が強いのもか」
「当然かも知れんな」
 こうしたことを話しつつ今夜は三人で飲んだ、綾乃は二人を合わせただけの量の酒を飲んだがそれでも酔わなかった。九州を併呑した彼等は休むことなく動いていた。


第四十二話   完


                  2017・11・15 
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