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夢幻水滸伝

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第四十二話 西国統一その三

 動きを止められた北原は膝を折った、だがその膝を大地には着けずに中里に言った。
「御前さあ達の勝ちでごわすよ」
「はい、そうですね」
 ここで彼のところに来た美鈴も続いた。
「これで」
「来たでごわすか」
「降ることを勧めに」
「そうでごわすか、しかしでごわす」
「これで、ですね」
「戦は終わったでごわす」
 自ら言う北原だった。
「おいどん達の負けでごわす」
「それでは」
「降るでごわす」
 北原のこの言葉で戦は終わった、耳川の戦いは関西の大勝利で終わった。
 関西の軍勢はすぐに戦後処理に入った、まずは戦場で倒れた将兵達を蘇らせて傷の手当もさせた。そうしてからだった。
 中里は戦場のさらなる後始末を芥川に任せてそのうえで九州の星達を連れて術で都に戻った。そうして御所に彼等を入れて綾乃とも会って戦のことを話した。
「この通り九州の星の奴も全員や」
「うち等のお友達にやな」
 綾乃は北原達を見て笑顔で応えた。
「なってくれるんやな」
「友達って言うか?」
「そやん、同じ星やし」
「だからか」
「そや、それでや」 
 友達と言ったというのだ。
「五人共やな」
「これからは関西でやな」
「やらせてもらうでごわす」
 北原が綾乃に畏まって言った。
「これからは」
「ほなよろしゅうな」
 綾乃は北原ににこりと笑って応えた。
「これからは」
「それで終わりでごわすか」
「そやけど」
「何かおいどん達が戦に負けて降ったのですることは」
「ないで」
 綾乃の返事はあっさりしたものだった。
「特に」
「そうでごわすか」
「勢力同士の戦はこの世界では常やし」
 それでいがみ合っていても何もないというのだ。
「それで負けて降ったから詫び入れとかな」
「しなくていいでごわすか」
「ヤクザ屋さんやないんやし。そんなんしてる勢力もないやろ」
「聞いたことがありませんね」
 綾乃のすぐ傍で控えていた太宰も言った。
「そうした話は」
「ほなそういうことでな」
「これからはでごわすか」
「五人共関西で頼むで」
「すぐに九州に関西の技術を導入した内政を行いましょう」
 太宰は綾乃と北原達に申し出た。
「田畑の開墾と感慨、町や道の整備、治水に植林も行い」
「港とかもやな」
「はい、整えていきましょう」
「ほなそれにな」
「貴方達も励んでもらいます」
 内政にとだ、太宰は北原達に言った。
「是非」
「それではでごわすな」
「忙しくなりますが宜しいですね」
「任せて欲しいでごわす」
 北原は笑って太宰に応えた。
「内政をどんどんしてでごわすな」
「九州も今以上に豊かにしていきます」
「そして民も国も富む」
「そうしていきます」
「そういうことでな、さてこれで西国は統一したけど」
 綾乃は棟梁の座からあらためて言った。 
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