八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百四十四話 お盆の後の海その四
「白鹿や白狐も」
「そうした生きものも」
「はい、白猿なんかも」
「全部神様の使い」
「そうされています」
「アルビノ?」
ここでエリザさんはふと言った、僕達はもう八条荘を出てそのうえで海に向かって歩きはじめている。
「それは」
「ああ、白子ですね」
「白だと奇麗だから」
「神様の使いとですね」
「思って」
それでというのだ。
「そうするの」
「それだと思います」
「やっぱり」
「黒も否定されていないですけれど」
日本の神道の特徴をだ、僕はここでエリザさんに話した。
「神道って穢れと清めがありまして」
「穢れと清め」
「はい、穢れがとにかく嫌われます」
特に死の穢れがだ、だからお葬式から戻って来た人に清めの塩をかけたりするのだ。塩はお相撲でも清めとして土俵にかけられる。
「とにかく」
「そして白は清め」
「そのものだからだと思います」
「白子も大事にされるの」
「そうなりますね」
「成程。虹蛇は白くないから」
「虹だからですか」
「実際に虹を象徴したのもいる」
そうした虹蛇もというのだ。
「文字通り」
「それで、ですね」
「白い虹蛇は私知らない」
「虹色の蛇ですか」
「そうなる」
「その方が奇麗ですね、それに」
僕はその虹蛇という言葉からエリザさんに言った。
「虹と蛇って形が似てますね」
「細長くて」
「だからイメージされてですか」
「そうだと思う」
「やっぱりそうですか」
「蛇は虹」
ここでこうも言った。
「そして虹は蛇」
「そうしたものですか」
「この世界の色々なものを司っている精霊達」
「偉大ですね」
「だから私も愛しているの」
そうだとだ、僕に話してくれた。
「自分の国と同じだけ」
「オーストラリアですか」
「いい国、野球も水泳も強くて」
ここで言った言葉が火種になるとは僕はこの瞬間は思わなかった、聞いた瞬間には思ったけれど。
「ラグビーは世界最強」
「二番目ですわ」
それがこの瞬間だった、ジョーンさんがすぐに言ってきた。
「オーストラリアは」
「二番目はニュージーランド」
「前に勝ったのは我が国ですわ」
「その前に勝ってる」
「その前は三連勝してますか」
「うちは四連勝している」
二人はそれぞれの口調で言い合った、僕を挟んで。それで僕は思わず二人に突っ込みを入れた。
「あの、ちょっと言い合いはね」
「義和を挟んでるから」
「迷惑ですわね」
「いや、言い合い自体がね」
それがとだ、僕は二人に話した。
「よくいないから」
「ラグビーは絶対」
「そこは譲れませんわ」
「オーストラリアに勝てる国は存在しない」
「オールブラックスは無敵でしてよ」
「どっちもラグビ―凄いのは知ってるけれど」
オーストラリアもニュージーランドもだ、それにトンガもラグビーは無類に強い国々として有名だ。
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