夢幻水滸伝
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第四十一話 耳川の合戦その七
「私も攻めますよ」
「それでは」
「思いきりやってやりましょう」
「敵を散々に破ります」
「必ずや」
こう話していた、そしてだった。
美鈴も他の星達も釣り野伏を成功させることに集中していた、敵に見破られないことにも。だがだった。
敵が気付いていない、見破っていないふりをしていることに気付いてはいなかった。それで又吉もだった。
自身が率いる兵達にだ、強い声で言った。
「敵は気付いていません」
「はい、どう見ましても」
「我等が近付いていることに」
「それではですね」
「これから」
「攻めます」
こう言ってだ、音もなくだった。
関西の軍勢に突っ込む、そうしてだった。
鉄砲や弓矢で攻めこの時に歓声を挙げる、するとだ。
先陣を率いた玲子が強い声で兵達に言った。
「前からだ!攻めるよ!」
「はい!やられたらやり返せ!」
「それですね!」
「追ってそして!」
「散々に!」
「そうだよ、行くよ!」
こう言ってだった、自身が率いる軍勢でもって又吉の軍勢に反撃を浴びせせんとした。又吉はそれを見てすぐに兵を退かせる。
そしてだ、玲子の動きを見てだった。
井伏と山本もだ、自分達が率いる軍勢に言った。
「手柄を独り占めさせんことじゃ」
「ここはわし等も行くわ」
「攻めて来た敵を倒しに行くぞ」
「そうするからのう」
それぞれの兵達に言って玲子の軍勢に続いた、それを見て中里も言った。
「あの連中勝手に行かせたら全滅するだけじゃ」
「そや、ここは全軍で敵の攻めてきた敵を倒す」
隣にいる芥川も応えた。
「そうするで」
「そやな、正岡と織田にも行ってな」
「そしてや」
「全軍で攻める、そしてな」
「連中を連れ戻して囲みに戻るで」
こう言ってだ、そしてだった。
中里は十万の軍勢全てを動かした、そうして又吉が率いる軍勢に向かう。城の囲みは今は解いていた。
その彼等の動きを見てだ、北原は言った。
「よか状況でごわす」
「敵はこちらの策にかかった」
「そうなりましたね」
「見事に」
「そうでごわす」
まさにというのだ。
「だからでごわす」
「はい、ここはですね」
「一気にですね」
「攻める」
「そうしますね」
「今がその時でごわす、法螺貝を鳴らすでごわす」
攻める合図のそれをというのだ。
「いいでごわすな」
「はい、では」
「これよりです」
「我等も」
「攻めるでごわす」
こう告げてだ、北原は法螺貝を鳴らさせた、その法螺貝と共にだ。
全軍で又吉の軍勢を追っていた関西の軍勢の横と後ろから一気に歓声が起こった。そうしてそれと共にだった。
九州の軍勢が夜の中に屏風が立ち上がるかの如く一斉に出て関西の軍勢に向かった。それを見て北原は会心の声をあげた。
「よし、これででごわす」
「勝ちです、わし等の!」
「最高の状況になったたい!」
「これはいけます!」
「全軍そのまま攻めるでごわす!」
北原は軍配を振るって叫んだ。
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