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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百四十二話 靖国神社その十二

 モンセラさんはここでこうも言った。
「元々モデルというか本人さんいるのよね」
「うん、ブラド四世ね」
「ルーマニアの王様か何かだったわね」
「トランシルバニア大公だったかな」
「王様じゃなくて」
「どうだったかな、その辺りは」
 何か欧州の爵位はややこしい、欧州から来た子に言われても国によって違ったりして覚えにくい。 
 けれどこのことは確かなのでこうモンセラさんに言った。
「けれど領主さんでね」
「それでなの」
「あそこでトルコ軍と戦って、その前に国内の反対派とかをまとめて殺して」
「串刺しにしたのよね」
「そうみたいだね」 
 別名串刺し公という、とにかく串刺しが好きだったらしい。
「反対派の貴族とか捕虜をね」
「相当残虐だったって聞いたけれど」
「当時串刺しは普通だったらしいけれど」
 それでもだ、聞く限りだと。
「ちょっと数も多いし串刺し以外にもね」
「色々してたのね」
「トルコの使者のターバンを頭に釘付けにしたりして」
 自分の前で脱げ脱がないといった口論の末かっとなってそうさせたらしい、無茶苦茶な話だ。
「もう本当にね」
「無茶苦茶だったのね」
「異常に残酷な人だったの」
「やっぱり当時としてもね」
 結構以上に血生臭い話も多い欧州の中でもだ。
「かなり残酷な人だったのは間違いないね」
「そっちの方が怖くない?」
 モンセラさんはドラキュラ公についてこう言った。
「ひょっとしなくても」
「ドラキュラ伯爵よりもだね」
「正直言ってね」
「そうかも知れないね」
 僕も否定せずに答えた。
「正直なところね」
「ドラキュラ伯爵は優雅で紳士的なところもあるけれど」
 それがまた魅力なのだ。
「けれどね」
「実在のドラキュラ公はね」
「残酷過ぎるでしょ」
「だから版画になってね」
 人を串刺しにしまくってばらばらにしているのを食事を摂りながら見ている版画だ、何か三国志演義の董卓みたいだ。
「恐れられていたんだ」
「当時からなの」
「本当に鬼なんかよりもね」 
 正直日本の鬼はまだ情があると思う、童話とかを見ていると。
「怖い人だったみたいね」
「悪魔みたいね」
「何かドラキュラってそういう意味らしいし」
「あっちの、ルーマニア辺りの言葉で」
「そう、悪魔の子とか竜の子とかね」
 そうしたあちらでは非常に不吉な意味だったらしい。
「そう言われているんだ」
「そうなのね」
「だからね」
「あくまみたいに怖い人って言われてたの」
「実際にね」 
 そうだったらしい。
「敵も反対派も殺しまくって」
「一歩間違えたら狂気の独裁者じゃない」
 ニキータさんもこう言った。
「それって」
「そうかも知れないね」
 僕はニキータさんの今の言葉を否定出来なかった、それでこう言った。
「実際のところ」
「そうよね」
「今だとね」
 現代の人類社会だとだ。
「本当にそうだったと思うよ」
「国際的な批判は来てたわね」
「北朝鮮みたいにね」
 正直ドラキュラ公の方が残酷だと思う。
「国連の言うことも聞かないだろうし」
「絶対にね」
「だからね」
 もう本当に簡単に予想出来ることだった。 
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