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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百四十二話 靖国神社その四

「前から考えていてそれをね」
「義和に言うの」
「そんな感じなのね」
「そうなんだ、だからね」
 それででだ。
「僕としてはね」
「いいのね」
「このことは」
「そうなんだ、その時も驚いたけれど」
 いきなり東京に行くと言われてだ、そうならない筈がない。
「行ってよかったよ」
「参拝出来て」
「桜も観られてね」
 こうモンセラさんに話した。
「それも出来てね」
「そうなのね」
「うん、凄く奇麗だったよ」
 靖国のその桜もだ。
「噂だけのことはあったよ、それにね」
「それに?」
「あそこの桜は特別でね」
 モンセラさんにこのことも話した。
「歌でもあるんだ」
「日本の歌よね」
「うん。同期の桜って歌でね」
 卒業の時とかに歌われるけれど元々は軍歌だ、海軍兵学校の同期の友情と絆を歌った歌だ。
「靖国神社のことも歌ってるんだ」
「そうなの」
「最後の五番でね」
 何でも四番は忘れられているらしい、だからその五番を四番と思っている人もいるらしい。
「そこで咲いてって歌ってるんだ」
「咲いてってことは」
「そう、桜だよ」 
 どう考えてもだ。
「あの桜は英霊の人達の魂でもあるんだ」
「そうした桜なのね」
「だからね」
「その桜を見られてなのね」
「よかったよ、また機会があればね」 
 あの時はいきなりだったけれどそれでも機会は機会だ、親父が後で言ったことだと一回僕を連れて行きたかったらしい。その春の靖国神社に。
「行きたいね」
「春の靖国神社ね」
「うん、あそこにね」
 ニキータさんにも答えた。
「行きたいね」
「それで桜も観て」
「英霊の人達に会いたいね」
「そうしたお話も聞いて思ったけれど」
 ニキータさんは僕の話を聞いて考える顔でこう言った。
「そうした場所にいる人達を貶めたりしたらね」
「よくないってわかるよね」
「桜になるってことは」
 このことから言うのだった。
「つまりあれよね」
「あれって?」
「それだけ心が奇麗ってことでしょ」
「桜になるってことは」
「日本のそうした考え、生まれ変わりってね」
 ニキータさんはどうにもという顔で僕に話した、実際に考える顔になって腕を組み仕草にもなっている。
「私わからないけれど」
「キリスト教にはないからね」
「そう、生まれ変わりの考えってね」
「死んだらそれでだよね」
「天国に行くか地獄に行くかだから」
 若しくは煉獄で一旦浄化されてから天国に行くかだ。
「そうなるからね」
「こうした考えはだね」
「わからないけれど」
 それでもというのだ。
「奇麗な心の人は奇麗なものに生まれ変わるのよね」
「そう考えていいかな」
 僕もニキータさんのその言葉は否定せずにどちらかというと肯定という調子で言葉を返した。 
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