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前世の知識があるベル君が竜具で頑張る話

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あいず・ばれんすたいん

ファミリア公庫

「なんですここ?」

連れていかれた場所は、武具がたくさん置いてある場所だった。

「旧くなった防具や武器を置いてある。
すきな物を取るといい」

「いいんですか?」

「駆け出しの内は皆ここの物を使う。
遠慮はするな」

「はい、リヴェリアさん」

防具を一通り見ていると、革鎧があった。

持ってみると軽かったので、それを選んだ。

「これにします」

「む?それでいいのか?」

「はい。あまり重いと邪魔ですし」

「ふむ。自分の実力をよくわかっている」

「ありがとうございます」




その次に連れて来られたのは練兵場…というか広場だった。

「えっと…リヴェリアさん…?」

目の前には杖を構えたリヴェリアさん。

「ベル、武器を召喚して打ち込んでこい」

「?」

「その革鎧の調子を確かめるのと、訓練だ」

なるほど、一石二鳥って訳か…

「返事は?」

「はい!」

使う竜具は…

「来い!バルグレン!」

両の手に焔の短剣を握り締める。

「行きます!」

リヴェリアさんにバルグレンで猛攻を仕掛ける。

だが、その全てがことごとく杖に防がれてしまう。

やはり、軽すぎるのか…?

バルグレン…つまり短剣は速度重視だ。

パワーはない。

然らば…

僕はどうにかタイミングを掴んで後退した。

「どうした?その程度か?」

「いえ!まだまだです!ムマ!」

バルグレンが焔となって消え、片手に小さな斧が顕れる。

それを両手で掴むように持つと、斧が巨大化した。

ピンクで、真ん中にハートの意匠があるが、その威力は絶大だ。

「行きます!」

斧を振り下ろし、リヴェリアさんの杖と交差…

直後。

ドン! と、視認出来ない程の速さで吹っ飛ばされた。

side out











「やってしまった…」

ベルに回復魔法を唱えた後、リヴェリアは己の浅はかさを悔いていた。

レベル1のベルが彼女の一撃を受けきれる訳がないのだ。

「リヴェリア?」

そこへ、アイズ・ヴァレンシュタインが現れた。

「む、アイズか」

「どうしたの?」

「いやなに、力加減を間違えてしまってな…
この有り様だ」

と地面で気を失っているベルを指差した。

「そう…」

アイズはおもむろにしゃがみこみ、ベルの頭を撫でた。

そうして、正座を取り、彼の頭を自らの膝の上に乗せた。

「アイズ、一応言っておくとベルは男だ。
年もお前とそう変わらない」

「この子はこの子だよ?」

「ああ、そうか。そうだな…
あと、その子の名前はベル。
ベル・クラネルだ」

「ベル……ベル……」

その後、アイズの口元には僅かながら笑みが浮かんでいた。


「(これでアイズがダンジョン以外にも興味を持ってくれればいいのだが…)」










side in

なんか…きもちい…

頭を…撫でられてる…?

「んっ…」

「起きた?」

ん?

目を開けると、綺麗な金髪が目に入った。

僕を見つめている金の瞳。

人形みたいな無表情だけど、どこか嬉しそうな人が、僕を覗き込んでいた。

綺麗な人だなぁ…

「「……………………」」

あれ?この人の後ろに青空が見えるって事は………

僕は即座に起き上がった。

「あ……」

「すすすすっすいません!」

その人の前に立って、腰から曲げて謝罪する。

「ねぇ」

「はっはい!」

頭を上げて、目をあわせる。

「私はアイズ・ヴァレンシュタイン。貴女は?」

「ぼ、僕はベル・クラネルです!」

「すわって」

「はっはい!」

見れば見るほど美しい人だ。

ブロンドを靡かせ、トパーズのように澄んだ瞳を持ち、無表情なのに嬉しそう。

「貴女の、レベルは?」

「1です。さっきロキにファルナを刻んで貰ったばかりです」

「?」

こてんと首を傾げる姿に悶えそうになるのを押し止める。

「貴女、ミノタウロスをたおした…よね?」

「はい…リヴェリアさんに絞られましたけど…」

すると後ろから、ポンと肩に手を置かれた。

「あ…リヴェリア」

とアイズさんが呟いた。

……………………

「絞られるだけの事はしたよなぁ?
なぁ、ベル?」

「はっはい!」

後ろを向くとにこやかな顔のリヴェリアさんがいた。

リヴェリアさんは腰を下ろすと僕を膝の上に乗せて、僕のお腹の前で手を組んだ。

顎が僕の頭にのっている。

と、なれば当然…

「あ、あの…当たってます…」

「ああ、さっきは力加減を間違えたからな。
謝罪だよ。素直に受け取っておきたまえ」

「いえ…その…えっと…」

「ところでベル」

「はっはい!」

「お前、ギルドへは行ったのか?」

「い、行きました…」

「担当は?」

「エイナ・チュールという方です」

「ふむ…エイナか…」

「お知り合いですか?」

「あぁ、そうだな」

そう言えばエイナさんもエルフだったなぁ…

「担当がエイナなら話は早い。
ギルドへ行くぞ」

「え?」
 
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