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前世の知識があるベル君が竜具で頑張る話

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ふぁるな

「ふぅ…ファルナ無しでダンジョンに潜る危険を理解したか?」

「はい…」

あれから…二時間程説教されていた。

「ではロキの所へ行こう」

「ロキ…?」

「ああ…君は中々に光る物がありそうだ。
どうだ?ロキファミリアに入らないか?」

ロキファミリア…

「あぁ、いえ、遠慮しておきます」

「む?何故だ?」

何故って…だってロキって北欧勢力で一番ヤバイ神様だし…

「そのぉ…ロキって悪神じゃないですか…
ですからその…」

「なに、安心するな。神々はこの地上では力を使えん。
我々眷属…いや、君ですら倒せるだろう」

「そんな物…ですか?」

「ああ、だから安心するといい。
もし何かあれば私が盾になろう」

うわぁ…カッコいいなぁ…

「わかり…ました。その、でも、僕何も持ってませんよ?」

「案ずるな。さぁ行くぞ」

立ち上がろうとして…

「あのー、足が痺れたので少し待ってもらえませんか?」

「うん?ああ、そうか…ならば…」

と言って、リヴェリアさんに抱き抱えられた。

「ちょちょ!リヴェリアさん!?」

「どうした?君はまだ子供だろう?」

「僕はもう14です!」

「ああ、わかったわかった。
ほら、ロキの所へ行くぞ」

「絶対に信じてないじゃないですか!
胸があたってるんです!」

「マセガキめ」

「事実ですよ!降ろしてください襲っちゃいますよ!」

「それは楽しみだ」

「はーなーしーをーきーてーくーだーさーい!」

結局、降ろして貰えないままロキの下へ向かう事になった。

「ロキ、居るか?彼を連れてきた」

「おおー!リヴェリアかいな!」

リヴェリアさんが部屋の中へ声をかけると、中から関西弁が聞こえてきた。

何故に関西弁?

がチャリとドアが空くと、赤髪で背の高い女性が出てきた。

この人もファミリア幹部かな…?

「まっとったでぇ…」

すると彼女はリヴェリアさんに抱えられている僕を見た。

きっと僕の今の顔はむくれてると思う。

「なんや君えらい不機嫌やなぁ」

「だってリヴェリアさんが僕は14だって言っても信じてくれないんですもん」

「はぁー…そりゃ災難やったなぁ…」

部屋に入ると、テーブルを挟んだソファーに下ろされ、僕の隣にリヴェリアさん、僕の真向かいに赤髪の人が座った。

「やぁ、わいはロキ言うんや。
君は?」

「僕はベル・クラネルです………え?
ロキ?」

「うん、わいががロキや」

うそ…?この女の人がロキ…?

ロキって男なんじゃ…

あ…でもメスの獣の化けて子供を作ったって北欧神話であったような…

「で?」

「うむ、彼をファミリアに迎え入れたいのだ」

「へぇ~」

ロキに見つめられて、僕は首を竦めてしまう。

「ええよ。こないな男の娘貴重やからな」

「今絶対に娘って言った…」

「おお!男の娘知っとるんかいな!」

「それはおいといて…僕入るなんていってないですよ」

「彼はどうやら貴様の悪行の数々を知っているらしいぞ?」

「あー?何かやらかしたっけな…」

「ミストルテインの槍とか色々…」

「ほーう?こら本当に知っとるようやな…」

あれ?マズイかな…?

「まぁ、今のロキはいい奴だ。いざとなれば我々がどうにかしよう。
どうだ?」

ロキの事を別にすれば、入りたい。

事実、この前門前払いされたし、リヴェリアさんもいい人だ。

「…………入ります」

「おお!そうかそうか!良かったなーママ」

「うむ、私も嬉しいぞ」






「じゃぁ脱ごうか」

「やっぱやめますかえります」

「まぁ待て」

席を立とうとした時、リヴェリアさんに止められた

「ファルナは背中に刻む物だ。
脱がねば何もできんよ」

なんだ…そういう事ですか…

「そう言ってくださいよロキ」

「あー、すまんすまん」

部屋を移動する。

どうやらさっきまでいたのは応接間らしい。

これからロキの部屋に行って、そこでファルナを刻むらしい。

「なぁ、リヴェリア。さっきベルがいいよったけど、リヴェリアはベルの年どう思っとるん?」

「五歳前後ではないのか?
お前ならわかるだろう?」

「うんわかるよー、ベルは嘘ついてへん。
正真正銘14歳思春期真っ盛りのエロガキやでぇ。
身動き取れんのに胸押し付けるとはリヴェリアも酷やなぁ」

「「「…………」」」

沈黙が気まずい…

「わるかったな…ベル」

「あ、いえ、その…こちらこそすいません」

「なぁなぁベル、リヴェリアの胸どうやった?」

「リヴェリアさん、入るファミリアを間違えたきがします」

「まだ降りれるぞ?」

「いえ、これほどしっかりした船もないでしょう。
船首は腐ってますが」

「同感だ」

「ひどくない?ねぇ二人ともひどくない?」



最上階の部屋に着いた。

乱雑に物が置いてあるのに整頓されていた。

「服脱いで、そこのベッドに横になってくれるか?」

「ん…わかり…わかった」

「なんで今敬語から言い直した?」

「敬う必要性がなさそうでしたので」

「まぁ…ええよ。ほらはよ横になりぃ」

上着を脱いで、ベッドにうつぶせになる。

「っかー!ええ筋肉しとるやないか!
以外と頼れそうやな!」

「は、はぁ…?」

腰の辺りに、ロキが乗ったようだ。

つー…

「ひう!?」

「うぇへへ…ええなぁ…ええなぁ…へご!?」

鈍い音がしたので、少し体をおこして後ろを見ると、リヴェリアさんがロキを殴っていた。

「さっさとやれ」

「も~…ひどいなぁ…」

今度こそファルナを刻むらしい。

「じゃ、いくでぇ」

背中に、暖かい物が落ちた。

イコルだ。

「ほう…ほうほうほうほう……は?」

途中で、ロキが可笑しな声をあげた。

「なんやこれ…」

「どうしたロキ?」

「いや、なんでもあらへんよ」

「何かスキルが有った?心あたりはあるけど」

「心あたりあるんかいな!?」

「まぁ…おおかた武器を召喚できるって所?」

「そうそう!そうなんや!」

やっぱり竜具召喚はスキルになってるのか…

「はい、終わったよ。紙に写してわたしたる」

ロキが腰から退いたので、僕も起き上がる。

上着を着終わると、ロキに紙を渡された。

ステータスはオール0。

ただしスキルが一つ。

≪ヴァナディース≫
・マインドを消費し竜具を召喚できる。
・マインドを消費し竜具に応じた竜技を行使できる。

「やっぱりか…」

「なぁ、ベル、竜具ってなんなん?」

「ある英雄譚に出てくる武器ですよ」

「見せて貰えるか?ベル?」

とリヴェリアさんに言われた。

「はい…」

何を召喚しよう?

室内だし…

「ザート」

唱えると、金色の錫杖が現れた。

「これが竜具ザートです」

「ほう、武器代要らずやな…
リヴェリア、ファミリア公庫でベルの防具見繕って来てくれんか?
あとギルドへの報告宜しく」

ファミリア公庫?

「了解した…行くぞベル」

「はい」

「あぁ、夜の宴会までには間に合わせぇよ」

こうして、僕はロキファミリアの一員になった。

side out










ベルとリヴェリアが退室し、残されたロキは一枚の紙を見ていた。

≪ヴァナディース≫
・マインドを消費し竜具を召喚できる。
・マインドを消費し竜具に応じた竜技を行使できる。

先程ベルに渡した紙はそこで終わっている…

しかし。

≪魔弾の王≫
・竜具の性能を最大限引き出す。
・異性同性善人悪人敵味方関わらず人を惹き付ける。
・早熟する。

≪世界に抗う者-トレイター・オブ・ワールド≫
・前世の記憶を知識として持つ。
・格上と戦った時、成長する。

そして、最後に…

≪夜と闇と死の眷属-ティルナファ・ファミリア≫
・死に近付くほど成長する。
・他者の命と引き替えに甦る。

「あかん…あかんよこれは…」

もし、これが知れたら、ベルをめぐって戦争がおこるだろう。

「見捨てる?まさか。
ベルはもうウチの子や。
何があっても、守ってやるさかいな」 
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