儚き想い、されど永遠の想い
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281部分:第二十一話 忌まわしい咳その四
第二十一話 忌まわしい咳その四
あらためてだ。佐藤に話す。
「それを食べるのもいいか」
「いいと思います。それではですね」
「次の休みの時にな」
「行かれますね」
「そうしよう」
こう話してだった。義正は決めたのだった。
早速真理にだ。こう話したのだった。
「今度の日曜ですが」
「日曜にですね」
「面白い店を知っていますので」
「そのお店にですね」
「御一緒にどうでしょうか」
こう言ってだ。真理をそこに誘うのだった。
「そこは海に面した店で」
「海ですか」
「はい、そうです」
そこにある店だというのだ。
「海を見た後で、そして見ながらです」
「そのお店で、ですね」
「食べましょう」
こう真理に提案するのだった。
「そうしましょう」
「そうですね」
真理はだ。義正の言葉にだ。
憂いのある顔でだ。こう答えたのだった。
「それでは」
「一緒に来て頂けるでしょうか」
「そうさせてもらいます」
真理は義正の言葉を断らなかった。そうしたつもりはなかった。
それでだ。また言うのだった。
「では」
「それでは。日曜に」
「はい、日曜に」
「その店に行きましょう」
こうしてだった。真理を海辺、そしてその店に連れて行くのだった。こうしてだった。
海辺に着くとだ。真理は。
白い砂浜と雲、それに青い空と海がある。その二色が絶妙のコントラストを生み出し真理の前に一つの絵画を見せていた。
無論義正もその絵画を見ている。そうしてだ。
真理にだ。こう話したのだった。
「如何でしょうか」
「何か。ここにいると」
「いると」
「気持ちが落ち着きます」
そうなるとだ。真理は義正に話した。
「そして空気がいいですね」
「そうですね。潮の匂いがして」
「風も爽やかで」
そうした中にいてだ。彼女は話すのだった。
「ここにいれば何か」
「何か?」
「ずっといたいとさえ思えます」
「そこまで御気に召されたのですね」
「はい」
そうだとだ。静かに答える真理だった。
「いい場所ですね。ただ海もいいですが」
「森もですね」
「神戸はいい場所ばかりですね」
「海に山もあり」
そのどちらもだというのだ。
「非常にいいですね」
「そう思われますね」
「はい、ただ」
「ただ」
「何時までもいられませんね」
沈んだ顔になりだ。真理はこう義正に話すのだった。
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