艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~
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第四十八話
前書き
どうも、ロー○ン瑞鳳が可愛すぎて生きてくのが辛くなってきました。この破壊力はヤバイでしょう。
あ、第三部、スタートです。
まず感じたのは、冷たさと全身の痛みだった。
思わず目を開けると、そこは水の中。その中を逆さになって沈んでいた。
舌を出してみると、塩辛い味が口中に広がった。どうやら、ここは海のようだ。
…………沈む。
俺たち艦娘にとってその二文字は、「死ぬ」と同意義の言葉だ。
しかし、嫌な感じはしない。むしろ、実家のような安心感とでも言おうか、そんなものを感じた。
もしかしたら、これから俺が行くところが俺の帰るところなのかもしれない。
…………いや、ダメだろ海の底が帰るところだったら。
海の底は、深海棲艦どもの領域。人間である俺が帰るところではない。
俺はボーッとしてた頭を振ってさっきまでの考えを頭から無くす。しかし、身体はちっとも動かない。抵抗することもできずに、ただただ沈んでいくだけだった。
あーくそが。どうしてこうなったのか全く覚えてねぇ。全身が痛いってことは、多分、轟沈させられたのであろうとは思うのだが…………本気で何も覚えていない。
俺は辺りを軽く見渡してみる。たまに泳いでる魚が見えるくらいで、他には何も見えない。
…………なんというか、海上に比べたら平和だな、と感じた。
見える範囲には深海棲艦も居ないし、それでいてものすごく静か。なんで俺たちが海上で戦ってるのか忘れそうになる。
…………あれだな、「沈む」ってのは、すぐに死ぬって訳じゃ無いんだな。暫くこんな感じで考える時間があるのか。やな時間だ。
…………あいつらは、無事だろうか。
木曾に天龍、冬華や時雨、摩耶さんに長門さん、青葉や…………春雨。
…………ごめん、皆。
俺はそんなことを思いながら、沈んでいく。
沈む。
沈む。
やがて、周りから光が無くなっていった。
見えるのは、俺の姿だけ。
あぁ、俺は、死ぬのか。
俺は直感的にそう思った。だんだんと、痛みも冷たさも感じなくなってきていた。
…………最期の瞬間が、近づいているのだろうか。
俺は自分の両手を見た。
何もやりきることが出来なかった両手。なにかを成し遂げることも、誰かを救うことも、守ることも出来なかった両手。
その両手は、青白い色になっていた。
「うわあああああああああああああああああああ!!」
俺は勢いよく起き上がった。そこは、海の中なんかじゃない、俺が寝ていた医務室のベッドの上だった。
秋の暮れだというのに、寝汗をビッショリとかいて、息づかいも荒くなっていた。
「…………はぁー!夢で良かったぁー!」
俺はそんなことを叫びながら、再びベッドに寝転がる。時計を見ると、○三○○。確か寝た時には二一○○だったな。
「…………風呂入ろ。」
俺はそう言うと、ベッドのシーツを取ると、汚れ物入れの中にぶちこむ。
そして、自分の部屋に向けて歩き出した。
…………色々と、謎が多い夢だった。
なんで俺が沈んでいたのか、なんで水の中なのに苦しくなかったのか。
そして。
「なーんで俺の両手があんなことに鳴ってたのかねぇ…………。」
青白い色の両手。
あの色は間違いない、深海棲艦の肌の色。
確かに、深海棲艦の中にも人型のやつは腐るほど居る。でも、なんで人型なのかってのは、わかってなかったはずだ。
…………まさか、な。ただの夢の中の話だし、特に気にしないでおこう。
「さてと…………風呂入ったあと、どうするか考えとかないとな。」
俺はそんなことを言いながら、廊下の角を曲がる。
「ん、なんだ、千尋か。どうしたんだ?こんな夜遅くに。」
珍しい私服姿の提督が現れた!▼
「いやー、目が覚めちまってな。そう言う提督はどうしたんだ?」
「僕かい?仮眠が終わったからこれから風呂に入って業務だよ。」
鉄人かよこの人は。縦縞の監督もビックリだよ。
「んじゃあ、俺も入っていいか?嫌な夢見ちまってな。」
「構わないよ。それじゃあ、先にいってるね。」
提督はそう言うと、入渠ドックの方へと歩いていった。
「さてと、早いとこ着替えとか取ってくるかな。」
俺はそう言うと、駆け足ぎみに自分の部屋に向かった。
―ドック―
「「はぁあ~。」」
俺と提督は大きく息を吐きながら湯の中に浸かっていった。夢の中が冷たかったから、いつもより温かく感じる。
「そう言えば、千尋と二人で風呂とか珍しいねー。こんな時間に千尋が起きてるなんて無いわけだし。」
確かに、今まで一回も無かったのでは無いだろうか。
「しっかし、提督と大淀さんは、いつもどんくらい寝てるんだ?」
こいつらが寝てるって印象は殆どない。むしろ、寝てたら気持ち悪い。
「んー、二時間位かなー。それ以上寝なくても別に全然大丈夫だしね。」
人外だろ最早。
「ところでさ、千尋はどんな夢見たの?飛び起きるような夢って、漏らした?」
漏らしてねぇよ、と悪態をつきながら夢の内容を大雑把に話した。
「なぜだか知らないけど轟沈して、海の中で沈んでいって、両手が青白くなってた。艦娘が沈んだら深海棲艦にでもなるのかねぇ。」
俺はそう言うと、軽く笑いながら提督の顔を見た。
提督は真剣な面持ちでこちらを見ていた。
「…………お、おい?どうしたよ。」
あれ?なに?そこまで気にかかるような内容なのか?そりゃあ、深海棲艦になる夢とか、夢であっても縁起が悪すぎるけどさ。
「……………………やっぱり、見るんだ。」
やっぱり?
「今まで、うちに居た『始祖』は全員…………殆どおんなじ内容の夢を見てる。」
なにかが、動き始めた。
後書き
読んでくれてありがとうございます。最近は忙しくなってきて、文字数があまり多くないんですよねぇ。沢山書きたいんですけど…………。
艦これにモンストにバレーに勉強に小説に…………あれ、趣味しかねぇや。
それでは、また次回。
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