儚き想い、されど永遠の想い
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246部分:第十八話 相互訪問その十三
第十八話 相互訪問その十三
「これもです」
「これは確か」
白と黄色の中間色の薄い和紙の様なものが小皿にある。それは。
「あれですね」
「はい、湯葉です」
「これもでしたね」
「京都のものです」
まさにそれだった。この湯葉もまた。
「如何でしょうか」
「それに鶏肉に鮎にお吸い物に」
「どれも日本ですね」
「このお吸い物は」
「それも鱧です」
これもだった。
「鱧のだしです」
「鱧尽くしですね」
「鱧の季節ですから」
だからだ。その鱧だというのだ。
そしてその他にはだった。蛸もあればほうれん草もあり人参もある。そういったものを上品な感じで調理しているそれが今の食卓だった。
それを全て見てだ。真理はまた述べた。
「夏の」
「最高の組み合わせですね」
「そうですね。まさに関西ならではの」
「京風です」
そのだ。京都の料理だった。
「それを意識したものです」
「京都の料理は違いますね」
「そうですね。大阪や神戸のそれとは」
「奈良ともまた」
とにかくだ。全く違っているのだ。京都の料理は同じ関西といえど他の地域とはだ。それは外観にも実によく出ていて真理に見せていた。
そして真理は。その馳走が置かれている皿も見た。
どの皿もだった。見事だ。白地に青く奇麗に塗られていた。
「この食器もいいですね」
「父が特別に」
「造って頂いたものですか」
「はい、職人に」
直々に頼んで。そうしてだというのだ。
「そうしてもらったものです」
「成程、それでは」
「かなり値が張ったそうです。しかしです」
「それだけの価値はありますね」
「父の自慢の品です」
義正は微笑んでそうだと話した。
「それだけに」
「そうですね。この食器もまた」
見事だと。真理も認めた。
そしてだった。さらに。
箸を手に取る。その黒い箸を。
そして食べるとだ。その味は。
やはり素材を活かしている。味付けは薄い。
だが風味が次第に効いてきてだ。真理を楽しませた。
その風味を味わいながら。彼女は義正に話したのだった。
「これはまさに」
「京都ですね」
「はい、京都です」
真理にもだ。このことがよくわかったのだった。
「素晴しいです」
「京都はよく日本そのものだと言われますが」
「この懐石料理はそうですね」
「見事な和食ですね」
「はい」
今度は鯉の刺身を食べる。山葵を乗せて丸めて醤油に漬けて。そうして食べると。
やはり後になってより深く味わえる。その風味までもだ。
それを味わいながら。また言った真理だった。
「和食はこうして」
「繊細なまでに風味までも」
「活かしていますね」
「生かしているとも言えましょうか」
言葉は少し交差した。
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