転生とらぶる
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ペルソナ3
1951話
コロマルが使う召喚器が出来たというのは、影時間に行われた境内の訓練から数日が経った頃だった。
また、今日になってようやく荒垣とも連絡を取る事に成功し……久しぶりという程に時間が経つ訳ではないが、感覚的には久しぶりで間違いなく、俺とゆかり、荒垣の3人は揃っていた。
既に影時間となっているが、今は周囲にシャドウの姿はない。
以前コロマルがここで戦っていたのは……やっぱり偶然だったのか?
「にしても、この犬……コロマルだったか? こういう奴までペルソナ使いになるとはな。正直なところ、驚きだ」
「もっと早く連絡が取れていれば、そこまで驚く必要はなかったんだけどな」
少し責めるような視線を荒垣に送るが、その視線を受けた方はそっと視線を逸らすだけだ。
荒垣曰く、野暮用でちょっとこの辺りから離れていた……という事だったが、それが連絡の取れなかった理由ではないという事くらいは、容易に想像出来る。
そもそも、どこぞの山奥ならともかく、この首都圏で携帯が通じないところがあるのかと言われれば、首を傾げざるを得ない。
……まぁ、住所上では東京であっても、実際には離島だったりする事はあるから、必ずしもという訳ではないのだろうが。
ともあれ、説明した以外の何らかの理由で荒垣が俺達と連絡が取れなかったのは間違いないのだが……今のところ、俺はそれを責めるつもりはない。
誰にだって、秘密の1つや2つはあって当然なのだから。
色々な意味で秘密の多い俺としては、迂闊に荒垣を責める訳にもいかない。
ここで迂闊に荒垣を責めて、俺の秘密を知られる危険を冒す訳にはいかないだろう。
勿論、荒垣の身に危険が及ぶのであれば、それこそこっちもそんな悠長な事を考えたりはしないが……こうして見たところ、今はまだ安全だと考えても構わない状況だ。
「ああ、悪いな。これからは出来るだけ気をつける」
荒垣がそう言い、取りあえずこの話はここまでとなる。
「わん、わんわん!」
すると話が終わったと判断したのか、コロマルが荒垣に向かって吠え始めた。
よろしく、という挨拶のつもり……なのか?
うん、まぁ、その辺の事情がどうなってるのかは、俺にもあまり分からない。
分からないが……恐らくそういう事だろうと考える事にする。
「さて、じゃあ話も終わったし、そろそろ行くか。向こうでも待ってるだろうし」
そう告げ、俺はゆかりと荒垣、コロマルと共に影のゲートに身体を沈めていくのだった。
「おい、シンジ! お前、今まで一体どこに行ってたんだよ! いきなり連絡が取れなくなって、心配したんだぞ!」
俺達が美鶴に招き入れられて巌戸台分寮の中に入ると、こっちの――正確には荒垣の――姿を見た真田が、不機嫌そうに、それでいながら嬉しそうに毒づく。
「ふんっ、お前は俺の母さんじゃねえだろ。別にどこそこに行くってのを教える必要はねえ筈だ」
「ったく、相変わらずだな、お前は」
これで荒垣が多少なりとも怪我をしていれば、真田ももっと本格的に心配をしたんだろうが……こうして見たところ、荒垣は特に怪我をしている様子もない。
だからこそ、こうして問題なくいつも通りにやり取りが出来ていたのだろう。
そんな2人のやり取りを眺めていると、やがてコロマルを抱いたゆかりが口を開く。
「それで、桐条先輩。コロマルの召喚器が出来たんですよね?」
「あ、ああ。それは間違いないのだが……」
何故か口籠もる美鶴。
普段の美鶴の性格から考えると、ちょっと信じられない気がしないでもない。
これは、何かあったのか?
そんな疑問を抱くも、俺が口を開くよりも前に嬉しそうに喋る奴がいた。
「勿論、きちんと召喚器は出来てるよ! 色々と大変だったけど、こっちもいい勉強になったよ」
嬉々とした様子というのは、今の幾月のような事を言うんだろうな。
そう思いながらも、俺は幾月が俺に向かって差し出してきた物を受け取る。
「首輪?」
そう、それは間違いなく首輪だった。
コロマルの首輪として考えれば、間違いなく用途は見た目そのままなのだろう。
犬だから首輪付けるというのは分かる。分かるが……
「これが召喚器、なのか?」
「そうだよ」
一瞬の戸惑いもなく、幾月は俺の言葉にそう応じる。
それだけこの首輪に自信があるって事なのか?
勿論、ゆかり達が使っているような、拳銃型の召喚器をコロマルが使えないというのは理解している。
コロマルの戦闘方法や、犬という条件を考えれば、首輪が一番やりやすいというのは理解出来るのだが……それでも、首輪で本当に大丈夫なのか? という思いがある。
「この首輪で、本当にペルソナを召喚出来るのか? 妙な欠陥とかはないよな?」
「100%、完全確実完璧に安全……とは言わないよ。そもそも、首輪型の召喚器なんて、今回初めて作ったんだしね。けど、理論上はこの首輪で十分召喚器としての役割を果たしてくれる筈だ」
「理論上?」
「ああ。以前にも言ったと思うけど、ペルソナを召喚するには死を感じ、実感する必要がある。この首輪はペルソナを召喚しようとした瞬間軽く縮み、コロマルの首を軽く絞める。それにより死を意識し……ペルソナを召喚出来る筈だ」
「つまり……それは、コロマルがペルソナを召喚しようとすれば、首輪が首を絞めるという事か?」
その言葉に、その場にいた全員の視線が幾月に向けられる。
驚いた事に、普段は大人しい性格をしている有里や山岸といった者までもが、幾月に厳しい視線を向けていたのだ。
これはちょっと予想外だった。
もっとも、山岸はともかく、有里は表面上は大人しいが、実際にはそれなりに気の強い一面もある。
そう考えれば、寧ろこの結果は当然だったのだろう。
「君達の気持ちも分からないではないが、ペルソナを召喚する為には、どうしても死を連想させる必要がある。そう考えれば、この方法しか僕には思いつかなかったんだよ。それとも、他に何かいい方法があるとでも?」
幾月の言葉に、俺を含めて全員が黙る。
実際、死を意識するのが絶対に必要である以上、幾月の方法は間違っていない。
いや、勿論他にも方法はあったかもしれないが、今の状態でそれが可能なのかと考えれば……それもまた、微妙に難しいだろう。
もしくは、可能であっても首輪型の召喚器を作るよりは間違いなく時間が掛かった筈だ。
「わん!」
そんな状況を破ったのは、誰にとっても予想外な事にコロマルだった。
しっかりと俺達の話は理解していたのか、首輪を嵌めてとこっちに視線を向けてくる。
どうするか一瞬迷ったものの、コロマルが望むのであればと首輪に何か妙な仕掛けがないのかを入念に調べてから、コロマルに首輪を付ける。
……その様子を見て、幾月が安堵しているのを見ると限り、首輪に何か仕掛けようかどうか迷ったといったところだろう。
ともあれ、首輪を付け終わったコロマルは、開いている場所に移動し……吠える。
「ワオオオオオオオオオオオオンッ!」
吠えるのと同時に、コロマルの側にケルベロスが召喚される。
そして……そのまま消える様子はない。
以前見た時は、数秒程度その身体を維持した後は、既に消えていた。
だが、今は十数秒……そして数十秒が経っても、ケルベロスが消える様子はない。
間違いなくペルソナを召喚したという事になる筈だ。
「これが、コロマルのペルソナか……」
初めてケルベロスを見る荒垣が、半ば呆然とした様子で呟く。
以前に一度見た者達ですら、こうして本物の実感とでも言うべきものがあるケルベロスを見れば色々と思うところがあるのか、じっとその姿を見ていた。
3つの首を持つ犬型のペルソナ……まさに、ケルベロスという名前に相応しい、そんなペルソナを。
「コロマル、ちょっと動かしてみてくれ」
「わん!」
俺の言葉に、コロマルは少しだけペルソナを動かしてみる。
1歩前に進むその様子は、普段であれば特に驚くような事もないだろう。
だが、やはり人型ではないというのは大きいのか、それぞれが歓声に近い声を上げる。
幾月もきちんと召喚器が動いたのを見て、満足そうに頷いている。
「ケルベロス、どんな力があるペルソナなんだろうな」
ふと呟くと、その場にいた全員の視線がこちらに向けられ……それぞれ悩ましげな表情を浮かべ、口を開く。
「ケルベロスってくらいだから、荒垣のカストールみたいに基本的には魔法を使わず、直接攻撃するタイプではないか?」
「桐条先輩の言いたい事も分かるっすけど、俺ッチが知っているゲームだと、炎を吐いたりとかしますよ?」
「炎、か。シンジ、どう思う?」
「ゲームとかをやったりはしないんだから、俺に分かる訳がないだろ。ただ、どうしても気になるなら、伝承の本とかを読んでみればいいんじゃねえか? 俺達が使っているペルソナも、伝説とか伝承とか神話とか、そういうのに出てくる登場人物が多いし、それにちなんだ能力を持っているしな」
荒垣の口から出た意外な言葉に、少し驚く。
いや、よく考えれば別に不思議でも何でもないんだろうが、それでもいかにも不良ですといった様子の荒垣から神話とかを調べてみろと言われると……
ああ、いや。でも暴走族ってのは時々妙に難しい漢字を当て字として使っているし、自分達のチーム名にそういう神話にちなんだ名前を付けたりとかいったような真似をしていた筈だ。
荒垣のテリトリーのポートアイランド駅の裏側でも、この前荒垣を探しに行った時にサイクロプスがどうこうって話を聞いた覚えがあるし。
「伝承を調べるのもいいが、実際にタルタロスに連れて行ってみて戦闘をしてみる、というのもいいかもしれないな。勿論上の階じゃなてく、3階とか4階の。……そうだな。どうせ今日はタルタロスを攻略するつもりはなかったけど、ちょっと試してみるか?」
「ワン!」
俺の言葉に、コロマルは任せろ! といった様子で鳴き声を上げる。
どうやら、コロマルにとってもそのつもりらしい。
「じゃあ、私も……」
「駄目だ」
自分も一緒に行くと言おうとしたゆかりだったが、俺はそれを即座に却下する。
そんな俺の言葉に、不服そうな視線を向けてくるゆかり。
……まぁ、ゆかりも何だかんだと結構コロマルと仲良くしていたから、そのコロマルのデビュー戦を見たいという気持ちは分かる。分かるんだが……
「忘れたのか? 以前試した時に、ペルソナ使いとして強いと、シャドウが逃げていっただろ?」
「あ……」
俺の言葉に、ようやくその時の事を思い出したのか、ゆかりは小さく声を漏らす。
まぁ、いつもならわざわざ弱いシャドウのいる階で戦うような事はないから、それについて忘れていたというゆかりの気持ちも理解出来ないではなかったんだが。
ともあれ、現在の俺達の状況を考えると、低い階の宝箱とかを探す為ならともかく、戦闘目的でゆかりを連れていくような事は出来ない。
そもそも、ゆかりはペルソナ使いの中では最強と言ってもいい。
そんなゆかりがいれば、それこそシャドウは瞬く間に逃げ出してしまうだろう。
「どうやら分かって貰えたようだな。……同じ理由で、他の面々も全員駄目だ。行くぞ、コロマル」
「わん!」
俺の言葉に、コロマルはペルソナを消してこっちに近づいてくる。
……俺の場合はペルソナ使いじゃないせいか、シャドウに侮られているのか、普通に攻撃してくるんだよな。
まぁ、おかげでゆかりに言ったように、シャドウに逃げられる……といった事はないのだが。
そうして、俺とコロマルは皆が見てる前で影に沈んでいくのだった。
「ワオオオオン!」
タルタロスの2階。
そこで現れた複数の臆病のマーヤを相手に、コロマルは鳴き声を上げてケルベロスを召喚する。
召喚されたケルベロスは即座に臆病のマーヤに襲い掛かり、鋭い爪となっている前足であっさりと臆病のマーヤ数匹を倒す。
長鳴神社では、それこそコロマルが死ぬ覚悟で戦ってようやく互角に近い相手だったのだが、ケルベロスを召喚出来る今となっては、もはや最弱のシャドウはその通称通り、最弱のシャドウでしかない。
「ワオオオオオン!」
再び鳴き声を上げるコロマル。
同時に、大きな炎がケルベロスの前に生み出され……それにより、1匹の臆病のマーヤが燃やしつくされる。
……うん、どうやら順平が言っていたケルベロスが炎を使うって情報は間違っていなかったらしい。
しかも、今のは多分……本当に多分だが、アギラオ。
魔法名を口に出さなくてもしっかりと魔法は使えるのか。
その事が少し驚きだったが……考えてみれば、ある意味これも当然の結果ではあるのだろうと、半ば無理矢理自分を納得させる。
そうして、ケルベロスは臆病のマーヤを始めとして、様々なシャドウを相手に、一騎当千の力を見せつけるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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