儚き想い、されど永遠の想い
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225部分:第十七話 山でその二
第十七話 山でその二
「それに合格する為ですから」
「相当な体力がつきますね」
「だから内蔵なのですね」
内臓は精がつくものである、このことは昔から漢方医学で知られていることだ。
「はい、そうです」
義正だけでなく真理にも話す。
「ではお嬢様」
「はい、では」
こうしてだった。婆やはその及第粥を作って真理の前に出す。彼女はそれを食べてからだ。静かな声でこう婆やに対して話した。
「我が国のお粥と違いますね」
「気付かれましたか」
「はい、これが支那のお粥ですか」
「味付けが最初から違いまして」
「だしが」
真理は元の味付けに気付いたのだ。それにだ。
「いえ、支那ではスープですね」
「それがそもそもありまして」
「トリガラでしょうか」
味わいながらだ。真理は話した。
「それですね」
「はい、これはトリガラです」
まさにそれだというのだ。
「そしてそれで元の味を取って」
「それからなのですね」
「豚の内臓も入れます」
そのだ。肝心の豚の内臓もだというのだ。
「そうして作ったものです」
「本当に我が国のお粥とは違いますね」
「そうです。それでなのですが」
「味ですね」
「如何でしょうか」
その味も尋ねる。すると。
真理はだ。にこりと笑って婆やに話した。
「美味しいです」
「美味しいですか」
「美味しいだけではないですね」
「支那料理は医食同源と言われていますので」
「だからこそ。体力もなのですね」
「はい」
まさにそうだというのだ。支那料理はそこにあった。
味だけでなくそういうものも身体の中に入れてだ。真理は婆やに微笑んで話した。
「婆やが作ってくれるものは昔から」
「昔からですね」
「身体にとてもいいものを作ってくれますね」
「私は料理の専門家ではありませんが」
それでもだというのだ。
「ですが」
「それでもですね」
「お嬢様の為に」
そのだ。真理の為だというのだ。
「いつも考えています」
「お料理もですね」
「そうなのです。実は家でも」
「家でもですか」
「それを心掛けています」
「食べ物も健康的にですか」
「例えは」
婆やはここでだ。ある話を出した。その話は。
「白米だけでは駄目です」
「あれですね」
義正がすぐにだ。婆やのその話に応えた。
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