| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十七話 肥後へその十

「それが私の信条だからね」
「喧嘩は売られたら買え」
「そうしてですね」
「そうさ、そして卑怯未練はするな」
 そうしたこともというのだ。
「私が先輩から言われた言葉だよ」
「先輩?」
「先輩といいますと」
「私の元々の世界で長崎でお世話になってた人だよ」
 雪路の中学の時の一年上の先輩だ、所謂ヤンキーであり喧嘩上等だったが人として真っ直ぐな先輩だったのだ。
「その人に言われたんだよ」
「売られた喧嘩は買え」
「やられたらやり返せ」
「そして卑怯未練はするなですか」
「そうさ、それで私もだよ」
 世話になった雪路もというのだ。
「そうした考えさ」
「そうですか、だからですね」
「この借りは返す」
「そうされますか」
「今その先輩は長崎の高校で宜しくやってるよ」
 その先輩の今の話もした。
「元気にね」
「大将達の世界の学校ですね」
「そこに通ってですね」
「元気にやっておられるんですね」
「そうだよ、この前長崎に戻ったら元気で彼氏の人とデートしてたよ」
 雪路は笑って兵達に先輩のことをさらに話した。
「幸せそうで何よりだったよ」
「あちらの世界の長崎で」
「そうだったのですか」
「それが本当に何よりですね」
「大将にとっても」
「全くだよ、まあ先輩みたいになってね」
 そしてというのだった。
「これからも立派に生きていきたいね」
「尊敬されているからこそ」
「そう思われるのですね」
「ああ、じゃあ今から天草にまで下がろうね」
 そしてそこでも退くつもりだった、自分と兵達の今の役割をわかっているからこそ。雪路は本心は置いておいて今はそうしていた。
 その雪路と正反対にだった、四人は長崎に入ると満面の笑みで長崎ちゃんぽんを食べた、そうしてこう言うのだった。
「やっぱり美味しいわ」
「ほんまにな」
「具は一杯でな」
「豚骨スープ最高や」
 四人で同じテーブルで食べながら話すのだった。
「この太い麺がええし」
「いや、楽しみしてた介があったわ」
「期待を裏切らへんわ」
「最高にええわ」
 見ればちゃんぽん以外に豚バラ煮込みや蒸し餃子等もある、そうしたものも食べているのだ。
 しかしその中でのメインはちゃんぽんでだ、四人はそのちゃんぽんに舌鼓を打ちつつこうした話もした。
「次はカステラやな」
「あれも食べなあかんな」
「カステラも最高やしな、ここ」
「長崎のカステラほんまにええしな」
 だからだというのだ。
「あれも食べような」
「海が見える場所でな」
「長崎の海を見ながらな」
「そうして食べような」
 四人で話す、そしてだった。
 雅美がだ、ちゃんぽんの麺をすすりつつ仲間達に話した。麺から豚骨スープの味がして実にいい味である。
「それでこれからの話やけどな」
「ああ、天草やな」
「次はそこやな」
「水軍に助けてもらってな」
「それで行くけど」
 それでもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧