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オズのトト

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第四幕その五

「だからわし等ニホンオオカミも小さいのじゃよ」
「成程ね」
「それも進化なんだね」
「場所に適応することが進化だから」
「日本の生きものは小さくなったんだ」
「そういうことじゃ、さてそれでじゃが」
 長老さんは四人に話してから今度はオジョを見て言いました。
「よく呼んでくれた」
「約束したからね」
 オジョは長老さんににこりと笑って答えました。
「だからだよ」
「そう言ってくれるか」
「約束は守らないとね」
 オジョは何でもないと返します。
「やっぱりね」
「それでか」
「うん、それでだけれど」
「今の森の状況をじゃな」
「ドロシーさん達に話してくれるかな」
「わかった、それでその子達は」
 先程お話した四人だけでなく恵梨香も見て言うのでした。
「あの噂の」
「そう、外の世界から来たね」
「名誉市民の子達じゃな」
「そうだよ」
「ふむ、まさかこの子達まで来るとはな」
「予想してなかった?」
「全くな、しかし来てくれたのなら有り難い」
 ここで笑顔になった長老さんでした、恵梨香はその笑顔を見てふとこんなことを言いました。
「長老さんって甲斐犬みたい」
「あの小さな犬か」
「ええ、今の笑顔を見たらね」
「ははは、日本の犬はわし等の弟分じゃ」 
 長老さんは恵梨香の言葉に今度はお口を大きく笑って言いました。
「似ているのも当然じゃな」
「狼から犬が出たからよね」
「そうじゃ、そちらのトトはどうなるかのう」
「僕は親戚?」
「アメリカの犬じゃからな」
 日本の犬ではないからだというのです。
「そうなるかのう」
「弟分じゃなくて」
「親戚じゃ」
 そちらだというのです。
「言うならな」
「そうなるのね」
「狼といってもどうもニホンオオカミは他の狼と違うでな」
 長老さん自身もわかっていることみやいです。
「それでな」
「他の国のワンちゃんとはなのね」
「近くはないみたいでな」
「親戚なのね」
「そうじゃ」
 弟分ではなく、というのです。
「その様じゃ」
「そうなのね」
「そうじゃ、それでざが」
「ええ、今からね」
 今度はドロシーが応えました。
「お話を聞かせてくれるかしら」
「わかった、それではな」
 是非にと応えてでした、そのうえで。
 長老さんは森の生きもの達を遠吠えで呼びました、するとカモシカに猪に鹿に狐に狸に穴熊に栗鼠にムササビやモモンガ達が来ました。
 その生きもの達を見てです、恵梨香は思わず笑顔になって言いました。
「皆日本の生きものね」
「やっぱりそうなんだ」
「特に」
 恵梨香はオジョにカモシカを見つつお話しました。
「あのカモシカです」
「日本にしかいないカモシカなんだ」
「そうなんです、ニホンカモシカといいまして」
「日本にしかいないんだ」
「そうしたカモシカです、日本でも珍しいんですよ」
「そうなんだね」
「ですからオズの国でも観られて」
 それでというのです。 
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