オズのトト
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第四幕その四
「貴重になるね」
「何でもそうよね」
「食べものも何時でも食べられたら」
「それでね」
「貴重でなくなるね」
「そうよね」
「テーブル掛けで何でも出せるから」
トトはこの例もお話に出しました。
「キャビアもフォアグラもね」
「オズの国では貴重じゃないのね」
「そう、トリュフだってそうだよ」
このご馳走もというのです。
「勿論他の食べものもね」
「じゃあ松茸とかカズノコも」
恵梨香は日本の高い食べものをここで思い出しました。
「そうしたものも」
「幾らでも出せてね」
「食べられるのね」
「そうだよ」
トトは恵梨香にその通りだと答えました。
「何でも出せるから」
「だから貴重じゃないのね」
「それでニホンオオカミさん達もね」
「オズの国だと」
「そう、沢山いるから」
「珍しくなくて」
「天然記念物じゃないよ」
こうドロシーにお話しました。
「そういうのじゃね」
「いいことね、やっぱり生きものもね」
「多い方がいいよね」
「どんな種類もね」
「そうだね、じゃあね」
「今からよね」
「その狼の長老さんにお会いしよう」
ニホンオオカミのというのです。
「これからね」
「わかったわ」
恵梨香はトトの言葉に頷きました、こうしてでした。
オジョがです、洞穴の方に言いました。
「長老さん、来たよ」
「ああ、オジョかい」
お年寄りの声が洞穴の中からきました。
「来てくれたんだね」
「うん、今ね」
「それで誰が来てくれたんだい?」
「ドロシーさんだよ、ムシノスケ教授とカエルマンさんもいるよ」
「その人達かい」
「そうだよ」
オジョはその声の主に明るい声で答えます。
「今ここにいるよ」
「よし、今からそちらに行こう」
「それじゃあね」
こうお話してでした、そのうえで。
声の主うは洞穴から出て来ました、それは灰色の毛の小さい年老いた狼でした。その狼と見てジョージと神宝、ナターシャは言いました。
「あれっ、小さいね」
「うん、他の狼と違ってね」
「何かね」
狼の長老さんを見て言うのでした。
「小さいって聞いていたけれど」
「どうもね」
「思ったより小さいね」
「そういえば狐も狸もね」
カルロスはこうした生きるものを思い出しました。
「日本のは小さいって言われてるね」
「それは森の中にいるからじゃ」
長老さんご自身が四人に言いました。
「日本の狭い木と木の間のな」
「あっ、それでなんだ」
「木と木の間が狭くてそこを動き回るから」
「それでなのね」
「日本の生きものは小さいんだね」
「そうじゃ、狭い中を行き来するには小さくないとな」
身体がというのです。
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