八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百三十九話 雨のバイク部その六
「あれよね、うどんのおつゆ辛いのよね」
「それで黒いっていうんだね」
「そう聞いたけれど」
「だしに昆布使わないしね」
このことが決定的に違う、そして関西ではお醤油は薄口醤油でそこもまた味の違いになっている。
「味は違うよ」
「あと鰻も違うって」
「あっちじゃ背中から切って一旦蒸すから」
「お腹から切らないの」
「切腹になるから」
腹から切るとだ。
「あっちはお侍さん多かったから」
「あっ、武士だと切腹ね」
「それはよくないからね」
縁起としてだ、だからあちらでは鰻は背中から切るものになったとのことだ。関西ではお侍が少ないので別に構わなかったのだ。
「それで鰻もなんだ」
「違うのね」
「一旦蒸すしね」
「何で蒸すの?」
「それは知らないけれどね」
どうしてだろうと思っている、僕としては関西の食べ方が好きだ。
「鰻もそうなんだ」
「あれ美味しいけれど」
「インドネシアでも食べる?」
「鰻ね」
「イタワッチさんは好きみたいだけれど」
「あまりというか全然と言っていい位ね」
そう言っていいまでにというのだ。
「鱗ないし」
「あっ、鱗のないお魚は」
「あまり食べられないから」
イスラムではというのだ、このことは獲れる獲れない以外にもイスラム教が啓典の一つとするユダヤ教の教えにもあるからそれが受け継がれているらしい。
「日本に来てね」
「食べる様になったんだ」
「あれはいいわね」
鰻はというのだ。
「最高のお魚の一つよ」
「僕も好きだよ、けれど本当に関東の方には」
「行ったことがないの」
一度もというのだ。
「本当にね」
「そうなんだね」
「一回行ってみたいわ」
イタワッチさんはこうも言った。
「それでおうどんも本当に辛いか」
「鰻もだね」
「味が違うのか確かめたいわ」
実際にという返事だった。
「私もね」
「まあ関東はおうどんよりもお蕎麦だね」
「そっちが主流なのね」
「長野の方もそうで秋田もね」
あと福島もだ。
「お蕎麦が有名なんだ」
「そういえばわんこそばって」
「秋田だよ」
こちらの名物だ、百杯食べられると一つの域か。
「それで東京もね」
「お蕎麦なのね」
「特にざるそばだね」
親父が言うには東京に行ったらざるそばを食えとのことだ、これを食べずして関東に来た意味はないという。
「噛まずに飲むんだ」
「噛まずに?」
「あっちはね」
ざるそばの場合はだ。
「おつゆは少し漬けてね」
「そのおつゆも辛いのよね」
「そうなんだ」
こちらにしてもだ、結局関東特に東京の方はだしもおつゆも色が濃くて辛いものになってしまう。
「そのおつゆに少し漬けて」
「噛まずになの」
「一気に飲み込むんだ」
そして喉ごしを味わうものらしい。
「それもどんどん」
「消化に悪そうね」
「実際に悪いと思うよ」
お袋は食べる時は出来るだけ噛む様に言っていた、そのことから考えると余計にだ。
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