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夢幻水滸伝

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第三十六話 長崎攻めその九

「日向に入る、それで拠点はや」
「何処ぜよ」
「府内城や」
 この城にするというのだ。
「あそこに拠点を置いてや」
「そうして日向に入るぜよ」
「そうするで、あそこに入ってそこから日向に進む」
「その時はあれじゃのう」
 今度は井伏が言ってきた、井伏もまたラーメンを美味そうに食っている。これは玲子も山本もである。
「豊後の統治もじゃな」
「後々のことも考えてな」
「しっかりと拠点にするんじゃな」
「そうや、あと日向は大きな国やからな」
 その面積がというのだ。
「攻めるにしても拠点が必要やさかいな」
「府内城はしっかりとした拠点にするんじゃな」
 山本は芥川の言葉に目を鋭くさせて言った。
「そうじゃな」
「そうや、大宰府を拠点にしてもええが」
「遠いのう、もう」
「それで豊後に拠点を置くんや」
「そうして攻めるんじゃな」
「そや」
 その通りだとだ、芥川は山本にも答えた。
「広い国での決戦になるからな」
「そういうことか」
「若し負けてもや」
 芥川はこの場合のことも考えていた。
「府内城に戻ってそこでまた力を取り戻してな」
「そのうえでか」
「また攻めるんじゃな」
「そうや、大宰府まで戻ってたら時間がかかる」
 居地の問題だった、このことは。
「それで府内城に拠点を置く、西の方ではあの四人は佐賀城を拠点にしたしな」
「ああ、あの娘達もそうしたんだね」
 玲子はラーメンだけでなくラーメンを肴にして酒を飲む用意をしつつ芥川に応えた、酒は軍議の後で飲むつもりなのだ。
「佐賀城から肥前を攻めていくつもりだね」
「そや、あそこに大宰府からかなりの物資を入れてな」
 そうしてというのだ。
「補給をしっかりしてや」
「肥前、そして肥後を攻める」
「そうしてくつもりや、あと熊本城攻めは止めてるしな」
 九州一の堅城とさえ言われているこの城についてはだ、芥川は最初からそうさせている。それが大きな損害につながるからだ。
「肥後はとりあえず人吉城を手に入れさせる」
「そこを熊本城を囲む拠点にしてか」
「薩摩にも睨みを利かさせる」
 薩摩にいる九州の軍勢を牽制して攻めさせないというのだ。
「そうするわ」
「そこまで考えてるか」
「軍師やからな、それでこっちは日向に入るけど」
 中里にあらためて話をした、話しつつラーメンのお代わりをして二杯目を食べる。
「高城辺りでの戦になるやろな」
「耳川やな」
「中里だけやなく全員に言うで」
 この場にいる諸将にとだ、芥川はその目を強くさせて言った。
「耳川ではこっちの世界では大友家は大敗してる」
「そっから大友家は斜陽になったぜよ」
 正岡も二杯目を食べつつ応えた。
「それはわし等にも言えるぜよ」
「奇襲だね」
 玲子はその目を鋭くさせつつ言った。
「それに気をつけるんだね」
「そや、慎重に進んで空からも警戒する」
 芥川は具体的な対策を話した。
「そうして進んでいってな」
「奇襲に備えつつですね」
 織田の口調も真剣なものになっている。 
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