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夢幻水滸伝

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第三十五話 筑後を抑えその十三

 その最上階から勝ち鬨を挙げた、雪路が率いていた兵達はその勝ち鬨を聞いてすぐに彼等の大将に言った。
「大将、残念ですが」
「これで、です」
「佐賀城は陥ちました」
「完全に」
「そうだね、じゃあね」
 雪路も無念だったがだ、それでも自身が兵に率いる兵達に言った。
「退くよ」
「はい、そうしましょう」
「ここは」
「生き残っている兵達にも言うんだよ」
 他の場所にいる彼等にもというのだ。
「逃げるんだよ、そして佐賀城の西で落ち合うよ」
「そして逃げられないならですね」
「その時は」
「降るんだよ」
 敵、つまり関西の軍勢にというのだ。
「そうする様にね」
「はい、すぐに伝えます」
「その様に」
 部将達もすぐに貝殻を出して応えた。
「今から、そしてです」
「佐賀城の西で、ですね」
「合流して再戦だよ」 
 こう命じるのだった。
「じゃあいいね」
「はい、今から」
「城を出ましょう」
「また会おうね」
 雪路は闘っている瑠璃子にも言った。
「そしてその時に決着をつけようね」
「そうしよな」
 瑠璃子も笑って応えた。
「ほなな」
「ああ、じゃあこれでね」
「戦たから追わせてもらうけどな」
 追撃は行うというのだ、逃げる軍勢を攻めることは戦の常道だ。瑠璃子はそれをはっきりとわかっていた。
「逃げてみせるんやな」
「それは安心していいよ、じゃあね」
 雪路は自ら後詰になってそうしてだった。
 軍勢を退かせた、関西の軍勢は追いすがるがその彼等をだった。
 雪路が倒し寄せ付けずだった、九州の軍勢は城を出てそうしてその西で落ち合ってから佐世保の方に向かって撤退した。これで佐賀城は関西の手に落ちた。
 その佐賀城を占領してだ、四人はすぐに兵達に言った。
「ほな次は佐世保や」
「佐世保に行くで」
「そこから長崎に行くからな」
「それでええな」
「はい」
 兵達は四人にすぐに答えた。
「わかりました」
「ほなそうしましょ」
「さて、それでやけどな」
 由香がここでこうも言った。
「ここにも食べものとか武器とか弾薬とか入れてもらおうか」
「肥前、肥後攻めの拠点にするからな」
 雅美がその由香に応えた。 
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