| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十五話 筑後を抑えその八

「どうしても攻めなあかん時は攻めんでええ」
「お城とかそういうのはな」
「囲んで動けん様にしたらええ」
「その間に他のやることやるべきやしな」
「やらんでええことはせん」
 瑠璃子が笑って言った、焼き鳥を食べた後でまた酒を飲みつつ。
「最初からな」
「うち等のポリシーやしな」
「やることはやるけどな」
「やらんでええことややらんか」
「そやから熊本城はええわ」
 攻めなくてとだ、瑠璃子はまた言った。
「ほなそういうことでな」
「攻めてこか」
「肥後の南まで」
「そうして後は守るってことで」
 その肥後を九州の軍勢からというのだ。
「そうしよな」
「ほなな」
「筑後は夏目さんに任せて」
「水軍と共同して動いていこうな」
 四人で話してだ、どうしていくのかを決めてだった。そのうえで世人組は軍勢を動かすことにした。
 実際に筑後を占領すると四人の動きに合わせて兵を出していた夏目にその国のことを任せてだった。
 四人は肥前に入るとまずは佐賀城に向かった、そこで二万の軍勢に対してこうしたことを言ったのだった。
「ほな今からな」
「佐賀城攻め落とすで」
「空と陸から攻めるで」
「術と大砲使ってな」 
 こう言うのだった。
「城壁も門も壊して」
「それも徹底的に」
「そうしてからや」
「攻め入るで」
 そうするとだ、兵達に話した。
「ええな、それで」
「力攻めはせんで」
「忍も今は使わん」
「術と大砲で遠くから攻めるんや、まずはな」
 こう話してそして実際にだった。
 四人は自分達も含めた術と大砲での攻撃をはじめた、それは城門の門自体だけでなく櫓や狭間に向けられてだった。
 城門を壊すだけでなく門を守る櫓や狭間まで壊し楽に攻められる様にした、雪路は天守閣からその攻撃を見て部将達に言った。
「いい攻め方だね」
「はい、定石ですね」
「ああして攻めてですね」
「そして城内に攻め入る」
「そうしてきますか」
「逐次ね、周りの櫓まで攻めてるしね」
 攻め入る門の近くにあるそれも全てだ。
「いい感じだよ」
「はい、それにです」
「やはり我々は兵が足りません」
「敵は複数の門から同時に攻めてきています」
「大きく分けて四つに」
 四人それぞれが軍勢を率いて攻めさせているのだ、しかも四人のその攻め方はそれぞれ連携が取れていた。
「対して我々は手が足りません」
「所詮三千程ではですね」
「二万の軍勢に一度に攻められますと」
「劣勢は否めないですね」
「そうだね、十倍とまではいかないけれどね」
 その兵力差がとだ、雪路は忌々し気に言った。
「けれどね」
「それでもです」
「七倍以上の差は大きいです」
「それはどうにもなりませんね」
「そうだね、まあ今は時間稼ぐだよ」
 雪路は己の役目を忘れてはいなかった、それで部将達にこうも言った。
「退路は確保してね」
「そしてですね」
「このまま戦いますが」
「いざとなればですね」
「佐世保まで退きますね」
「そうするよ、時間を稼ぐんだよ」
 今のところはというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧