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儚き想い、されど永遠の想い

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106部分:第九話 知られたものその十二


第九話 知られたものその十二

 それを話してだ。さらに言う義正だった。
「その人間が作ったものもまた」
「ではあらゆるものがですか」
「この考えは東洋的ですね」
 自分で話してそのことにも気付く。違う意味で自然にだ。
「そう思いますが」
「東洋的ですが」
「はい、なりますね」
「そうですね。では自然はあらゆるものがそれに入りますね」
 真理は言った。静かにだ。
 そうした話をしてだ。そのうえでだった。
 義正はだ。周囲を見回してだ。また話すのだった。
「街には木々はないでしょうか」
「いえ、あります」
「そうですね。ありますね」
 そのことを話すのだった。
「それもかなり」
「多いですね」
「そういうことですか」
「自然はあらゆるものがそれになります」
 森羅万象がだ。自然だというのだ。
 義正はその考えを真理に話しながらだ。言っていくのだった。
 そしてそのうえでだ。真理に顔を向けてだ。あらためてだった。
「では」
「では?」
「他の場所に行かれますか」
「森とは別の場所にか」
「はい、行かれますか」
 また言う義正だった。
「そうされますか」
「そうしましょう。では」
「どちらに行くかですね」
「何処に行かれますか?」
「川辺はどうでしょうか」
「川辺ですか」
「はい、そちらに行かれますか?」
 微笑みでだ。真理に話す。
「どうされますか?」
「では」
 一言でだ。真理は答えた。
「そうさせてもらいます」
「それではそちらに」
「街に海に森に川」
 真理は義正と共にいる場所をだ。話していくのであった。ここでだ。
「最初は舞踏の場でしたね」
「そうですね。あそこで御会いして」
「それから。こうして二人で」
「様々な場所を巡っていますね」
「不思議です」
 そうして巡ること自体がだ。そうだという真理だった。
「そのこと自体が」
「そうですね。私達は本来はです」
「はい、お互いの家が」
「だというのにこうして共にいるのですから」
「そのこと自体が奇跡ですね」
「奇跡ですが現実です」
 それだと言う義正だった。現実だとだ。
「確かにです」
「現実なのですね」
「そうです。では夢だと思われますか?」 
 川辺に案内しながらだ。そのうえで真理を見つつだ。彼女に問うのだった。
「今が。完全な夢だと」
「いえ、そうは思いません」
「現実ですね」
「はい、現実です」
 まさにそうだとだ。義正は話すのだった。
「こうして二人は一緒にいるのです」
「そうですね。それでなのですが」
「川辺ですね」
「やはり。森にあるような」
 真理は頭の中で想像した。山の中によくある川辺だ。白い小石の岸辺にだ。清らかな小川が流れている。そうした川辺をである。
 そしてその川辺をだ。義正に話すとだった。彼もこう話すのだった。
「そうです。そうした川辺です」
「そうなのですね」
「その川辺で宜しいでしょうか」
「御願いします」
 これが真理の今の返答だった。
 
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