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レーヴァティン

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第三十六話 北の街その七

「色々聞けるしな」
「情報がね」
 淳二も笑って久志に返した。
「だからここに毎日来たり」
「街の色々な場所回って時には人に聞いてな」
「情報集めていこうね」
「そうしような、あとここは領主さんの街だよな」 
 久志は今度はこのコペンハーゲンの話もした。
「丁度北の世界の玄関口っていう」
「そうらしいね」
「ここの領主さんは名君みたいだな」
「この街も栄えてるしね」
「領内も収まってるみたいだな」
 街だけでなくというのだ。
「周りの村も。俺達はまだ行ってないけれどな」
「善政を敷いているいい領主さんってことかな」
「まあいい政治をしないとな、こうしたあちこちに分かれてて戦争も多い世界だと」
「すぐに国が衰えてね」
 悪政によってだ、久志達の世界でも悪政によって国が衰えそこを他国に衝かれて滅んでしまった国は多い。
「そこを攻められるか反乱を起こされてね」
「滅びるからな」
「大抵の国はまともに政治をしてるみたいだね」
「ああ、自分達が生き残る為にな」
「領民の心をつなぎ止めてるんだな」
「支持を得てね」
「そうだよな、まあそれが普通か」
 こうした多くの勢力に分かれて争いも多い世界ならというのだ。
「善政も」
「そうなるね、この世界何処で戦があったって話も絶えないし」
「ああ、俺達はまだこの目では見てないけれどな」
「冒険者としてはね」
「この世界も戦争は激しいみたいだしな」
「その通りでござるよ」
 この世界での戦争を知らない二人にだ、知っている慎太が答えてきた。
「多くの者が倒れ街や村も焼かれるでござる」
「やっぱりそうなるか」
「田畑や街、領民には出来るだけ危害を加えない様にしているでござるが」
 これはやがてその土地を手に入れて自分のものになるからだ、だから領主達もそうした無道な所業はしないのだ。
「しかし戦をすれば民達は先に逃げてもでござる」
「戦が街や村で行われるとな」
「どうしても危害が及ぶでござる」
「籠城戦で街に市民が残っていたら最悪だな」
 久志はこの場合を考えて眉を顰めさせた。
「冗談抜きで」
「この世界は城塞都市でござるからな」
「日本と違ってな」
「日本の城はこちらの世界では砦でござる」
 言うならばそれになるというのだ。
「ユーラシア大陸、そしてこの島では」
「だから城攻めはそのまま街攻めだな」
「城を攻め落とす即ち街を攻め落とすことでござる」
「だから城を攻めるとか」
「市民を巻き込むこともあるでござる」
「それでその分犠牲者も多くなるか」
「戦の前に市民は城から逃げる場合が多いでござるが」
 この世界ではそうだというのだ。
「この世界では戦は我々騎士や戦士、兵士がするものとされているからでござる」
「市民や村人は戦わないか」
「基本的には。モンスターや盗賊に武器を手に取って向かうことはあるでござるが」
 自分の身や家族、家、そして村や街を護る為にだ。それで時として自警団が結成されることもある。
「しかしでござる」
「あくまで戦うのは騎士や戦士か」
「そして兵士でござる」
「戦う奴だけ戦うか」
「そうした不文律があるでござるからな」
「それで市民達は逃げるか」
 戦になればというのだ。 
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