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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百三十七話 八条荘に帰ってその六

「それはな」
「本当にそうですね」
「何か今日は色々考えてだ」
「それで、ですね」
「色々話したな」
 そうした一日になったというのだ。
「部活でも汗をかいてこれから勉学にも励むしだ」
「充実した一日ですね」
「そうだな、では実際に勉学に励みだ」
 汗をかき会話もしてというのだ。
「完全に充実した一日にしたいな」
「そうですね」 
 円香さんは留美さんの言葉に頷いてそのうえで自分のクラスに戻った。だがここでだった。
 不意にだ、円香さんは自分のお部屋に足を向けたところでぴたりと止まってそのうえで留美さんに振り向いて聞いた。
「先輩宿題は」
「夏休みのだな」
「はい、そちらは」
「うむ、終わった」
 留美さんは円香さんに微笑んで答えた。
「既にな」
「そうですか、私もです」
 円香さんもここで微笑んで言った。
「終わりました」
「ではだな」
「気持ちが明るいです」 
 肩の荷が降りてというのだ。
「そちらも」
「そうだな、では予習復習だな」
 これからする勉強はというのだ。
「そちらになるな」
「そうですね」
「大学受験はまだまだ先だが」 
 それでもとだ、留美さんはこうしたことも話した。
「一応考えておかないとな」
「そうですね、ただ先輩大学は」
「八条大学を受験するつもりだ」
 高等部の上にあるあの大学だ。
「文学部を考えている」
「文学部ですか」
「日本文学を学びたくてな」
 留美さんはここでまた微笑んで円香さんに話した。
「それでだ」
「大学はですか」
「そちらに進みたい」
 文学部の方にというのだ。
「そう考えている」
「そうですか」
「現代のな、小説が好きでな」
「誰の小説でしょうか」
「武者小路実篤だ」
 この小説家だというのだ。
「最近好きだ」
「武者小路実篤といいますと」
 この小説家についてだ、円香さんはこう言った。
「恋愛小説ですね」
「うむ、最近どうもだ」
「恋愛小説がお好きですか」
「それで三島由紀夫もだ」
 この人もというのだ。
「好きだ」
「そういえば三島由紀夫は恋愛小説も書いていますね」
「実はな」
「そうでしたね」
「よく愛国の面が言われる人だが」
 その切腹して果てた没日も憂国忌という、あの二二六事件の青年将校を書いた作品だがこの作品そのままの死だったとされているからだろうか。
「しかしその実はだ」
「恋愛小説をですね」
「多く書いていた人だ」
「そうでしたか」
「潮騒等だ」
 これもまた三島由紀夫の代表作だ。
「そしてライフワークの豊穣の海のシリーズもだ」
「恋愛小説ですか」
「あの人は愛国の面とだ」
「恋愛の面をですか」
「双方持っていた人だ」
 それが三島由紀夫だったというのだ。
「他の一面も多彩でUFOも題材にしたこともある」
「UFOもですか」
「映画に主演したり劇団に参加していたりとだ」
「多彩な方だったのですね」
「そうだったのだ、剣道もしていた」
 このことはかなり有名だ、稽古を欠かさず段位は五段まで至ったという。 
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