夢幻水滸伝
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第三十四話 博多と大宰府その九
「忍者返しの反り返った石垣も伏兵の配置も巧みで空からの攻めの備えもや」
「それもか」
「そや、空に向けて撃つ術を込めた弩も多くてな」
それでというのだ。
「かなり厄介やで」
「そやからやな」
「あの城を攻めるとなるとかなり厄介や」
損害を覚悟しなくてはならないというのだ。
「そやからあそこを攻めるよりな」
「高城から攻める方がええか」
「それか水軍で攻めるかや」
芥川はこちらの攻め方の話もした。
「壇ノ浦で九州の北の制海権は握ったけどな」
「艦隊を南に進ませてか」
「そや、また上陸作戦を仕掛けることもありや」
「陸から攻めるやり方もあってやな」
「海からもあるし空からもある」
「あらゆる攻め方をやることやな」
「勝つ為にはな、それでこれからどうするかをな」
具体的な攻め方、それをというのだ。
「話をしよか」
「九州攻めの拠点作りの後でやな」
「今は急がんでもええ」
九州攻め、それ自体をというのだ。
「少なくとも拠点を作る時間はな」
「充分にあるか」
「拠点作りをしっかりとやって作戦も立てて」
「そのうえでか」
「攻めてもええ」
「それだけの時間は充分にあるか」
「時間は無限やないけどな」
この世界でもこのことは同じだ、時間は限りがありそして常に動く。芥川もこのことをよく理解している。
「それでもな」
「東海の連中が動くのはまだ先か」
「何でも連中は東国とずっと睨み合ってて動けん」
「それでこっちにはか」
「まだ動かん、日本統一を遅らすと他の勢力に後れを取るけどや」
このことも軍師として考慮に入れている。
「他国の状況を聞いてもな」
「まだ動く状況やないか」
「そや」
「どの勢力も既に統一はしてる」
アメリカ、中国、東南アジアとオセアニア、そして中南米をというのだ。
「全部な、けどな」
「それでもか」
「これも情報を集めて確かめた」
「まだ動かんか、どの勢力も」
「どの勢力も広くて人口も多くて内政に時間がかかる」
このことからというのだ。
「まだ動くことが出来へんのや」
「それでか」
「ああ、ここでじっくり戦うだけの時間がある」
「そやねんな」
「そや、そやから拠点を作ってや」
博多や大宰府、そして福岡城を利用してというのだ。
「どう攻めるか策を立ててな」
「そうしてからやな」
「攻めていくんや」
「一気に攻めるんやなくてやな」
「そもそもこっから一気に南下は無理や」
芥川は中里に笑って話した。
「今の僕等はな」
「それはな」
「自分が一番わかってることやろ」
この九州攻めの軍勢の総大将である中里がというのだ。
「そやろ」
「ああ、弾薬もかなり使ったしな」
「兵も疲れててな」
壇ノ浦、そして今の上陸戦でだ。
「そして食料もな」
「用意する必要がある」
「そやからや」
「まずはそうしたものを全部整えてやな」
「兵隊も休ませてな」
「そうせなあかん、無理はせんことや」
中里もこう言う、そうしたことがわかっているからこそ。
「そうしたら負ける」
「そういうこっちゃ、そやからな」
「ここはやな」
「じっくりと休みつつ用意するで」
九州を本格的に攻める拠点を作るというのだ。
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