| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十四話 博多と大宰府その八

「そうするで」
「拠点にするねんな」
「そや、あと敵は高城の方に退いたけどや」
「追うか?」
「それにしてもすぐやない」
 中里に注意する様に話した。
「それはな」
「まずは拠点の確保や」
「そや、兵を休ませてものも集めてな」
「大宰府とか福岡城にやな」
「そうしてや」
「本格的な九州攻めの用意をしてやな」
「あらためてな」
 そのうえでというのだ。
「攻めるで、ええな」
「わかったわ」
 確かな声でだ、中里は芥川に答えた。
「ほなまずは拠点作りやな」
「そうするで」
 関西の軍勢は勝ち鬨を挙げた、そしてだった。
 彼等は博多と大宰府それに福岡城に入りそこに物資を次々に運び込みだした、それと共に将兵達も休めるが。
 ここでだ、中里は芥川にあることを尋ねた。その尋ねたことはというと。
「捕虜どうするんや」
「九州のか」
「そや、連中はどうするねん」
「あの連中は後でうちの兵になる」
 芥川は中里にすぐに答えた。
「そのことが決まってる」
「そやから粗末にせんか」
「そもそも捕虜を殺すとかないやろ」
「それはあかんやろ」
 即座にだ、中里は芥川に返した。
「よくある話やけどな」
「うちはそんなことせん」
「後でこっちの兵隊になるしな」
「そやから今はな」
 今の時点ではというのだ。
「ちょっと入れる場所を用意するか北原達に返すか」
「捕虜返したらその分敵の兵が増えるな」
「そやからわかるな」
「どっかに入れとくか」
「そうする、まあ適当な場所にな」
 彼等を収容する場所にというのだ。
「入れるで」
「戦が終わるまでやな」
「そや」
 まさにという声での返事だった。
「そうするで、そしてな」
「戦が終わったらやな」
「正式にうちの兵隊にしてや」
「戦ってもらうか」
「そうする、向こうも捕虜得てるかも知れんが」
 勝敗に関わらずお互いに捕虜は出る、それで芥川も自軍の将兵達が捕虜になっていることも言及したのだ。
「その連中もな」
「北原達が僕等みたいに扱ってるか」
「あいつ等は捕虜虐待とかせん」
 間違っても、というのだ。
「そんな連中やない」
「そやな、北原も他の奴もな」
 中里もこれまで彼と戦ってきてその人間戦とも対峙していった。
「そういう奴等ぢゃうわ」
「そやからな」
「こっちの捕虜もか」
「安心してええ、戦が終わったらな」 
 またこう言った芥川だった。
「お互い捕虜を解放してな」
「終わりやな」
「この件はな、まあ捕虜の話はそれで済むしな」
「問題はこれからどう攻めるかやな」
「そういうことや」
「敵は日向の方に行ったな」
 中里はこのことを話した。
「あそこで戦うつもりか」
「一旦北原の本拠地薩摩や大隅で態勢を立て直してな」
「それでか」
「また攻めて来るわ、絶対に肥後の方も守って来る」
 そちらもというのだ。
「あそこもな」
「肥後、熊本城があるな」
「こっちの世界でも難攻不落の城や」
 芥川はその熊本城の話もした。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧