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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1921話

「イオ、ガル、ガル、ガル、ガル!」

 苛立たしげに叫ぶゆかりの言葉に、イオは少し戸惑ったような様子を見せつつ、それでも指示通りガルを連発してファントムメイジと名付けられたシャドウを風の刃で斬り刻んでいく。
 いや、それだけではない。
 ガルを使うように指示しつつ、ゆかりはショートボウで矢を射って追撃をする。
 その様子は、まさに鬼気迫るという言葉が正しいだろう。
 少なくても俺の目には、ゆかりの前に立つシャドウが怖がっているようにすら見えた。……今のゆかりの気迫を考えれば、目の錯覚ではない可能性が高かったが。

「なぁ、岳羽の奴……いいのか、あれ?」

 いつもであれば、カストールを召喚して共に戦闘に参加しているであろう荒垣だったが、今のゆかりとは一緒にいたくないのか、俺の側に近寄ってきて小声でそう聞いてくる。

「そう言われてもな。……まさか、あそこまで怒るとは思わなかった」
「思えよ。前にも一度ハイレグアーマーは出ただろ?」

 そう言いながら、ハイレグアーマーという言葉が微妙に照れくさかったのか、荒垣の頬が薄らと赤く染まる。
 ゆかりとか桐条ならまだしも、荒垣みたいな強面が頬を赤くしてもな、
 正直、誰得だよ? という感想しか抱けない。

「以前は順平がいたから却下したと思ったんだけどな」

 あの時、ゆかりは順平の事を嫌っていた。
 ……まぁ、順平の態度を考えれば、そうなった気持ちも分からないではない。
 ともあれ、そんな順平に対してハイレグアーマーを身につけた姿を見せるのは、ゆかりにとっても許容出来なかったのだろう……と、そう思っていたのだが。
 実際には順平云々は関係なく、ゆかりにとってハイレグアーマーは駄目だったらしい。
 ゆかり、結構ハイレグアーマー似合うと思うんだけどな。
 いやまぁ、体型から考えれば、より大人っぽい桐条の方がハイレグアーマーは似合うと思うが。
 ただ、荒垣曰く、桐条にハイレグアーマーを着せようと思えば、間違いなく処刑らしいからな。
 そう考えれば、こっちもあまり無茶が出来る筈もない。
 そんな訳で、今はゆかりの気が変わってハイレグアーマーを着てくれるのを待つのみ。

「言っておくけど、あんなえっちな装備、絶対に着ないからね!」

 頬を……いや、顔全体を真っ赤に染めながら、ゆかりが俺と荒垣の方を見て叫ぶ。
 既にシャドウは全て倒されており、だからこそ俺と荒垣の会話も聞こえたのだろう。

「ああ、分かってる。ゆかりの気が変わるまで、ハイレグアーマーは俺がきちんと保管しておくよ」
「絶対に着ないって、言ってるでしょうがぁっ!」

 そう叫ぶゆかりの言葉に、荒垣は小さく溜息を吐いてから口を開く。

「ったく、何で俺が夫婦漫才に付き合わなきゃいけねえんだよ」
「だ、誰が夫婦ですか、誰が!」

 私は不満です! と言いたげな様子を隠しもせず、叫ぶゆかり。

「はいはい。分かったから、とにかく上に進むぞ。出来れば次の番人シャドウを倒しておきたいしな。後ろから……いや、この場合は下からか。桐条達もこっちを追撃してきてるし」

 番人シャドウという強敵こそ、基本的に俺達が倒している。
 だからこそ、下から俺達を追ってきている桐条達――正確には桐条はエントランスでバックアップなので、有里達――は、順調に俺達を追ってきている。
 ただ、今更俺が言うまでもない事だが、心配なのは、俺達が全ての番人シャドウを倒している……つまり、有里達から強敵との実戦経験を奪っているというのがある。
 ここが何らかの原作の世界で、ペルソナチェンジという特異な能力を持ち、転校生で、転校してきてすぐにファンクラブが出来るような有里が主人公なのは、恐らくほぼ間違いない。
 だが、俺はその主人公から強敵との戦いの実戦経験の場を奪っている事になる。
 ……代わりに、俺は模擬戦とかで強敵として有里の前に立ち塞がる必要があるか?
 主人公だけに、恐らく……本当に恐らくだが、有里にはこの先、試練のようなものが立ち塞がる筈だ。
 それが具体的にどのようなものなのかは、俺にも想像は出来ない。
 だが、ここが何らかの物語の原作の世界であると考えれば、その可能性は非常に高い筈だった。
 となると、ここで俺達が暫く待って有里達がこっちに追いついてくるのを待ってから、一緒に番人シャドウと戦うか……もしくは、俺が有里と模擬戦を行って立ち塞がる壁となるかのどちらかだろう。
 どちらがいいのか。
 うん、後で桐条辺りに相談してみるか。
 主人公云々という話は出来なくても、番人シャドウと戦わないというのは、強敵との実戦経験の少なさとイコールになるという事を説明すれば、分かって貰えるだろう。
 ああ、あのモノレールで戦ったイレギュラーシャドウと苦戦した理由は、順平の暴走以外、その辺りにも理由があったのかもしれないな。
 今だから言える、いわゆる結果論だが。
 ……だからといって、順平が暴走した事を許せるかと言われれば、答えは否だろうが。

「アクセル、行くわよー!」
「ああ、分かってる!」

 取りあえずハイレグアーマーについては一旦収まったゆかりが呼ぶ声に、軽く手を振ってからそのあと後を追う。
 ……ハイレグアーマーは空間倉庫の中にあるんだし、もしかしたら、本当にもしかしたら、何か機会があるかもしれないしな。
 そうして色々な意味でストレスを発散させている様子のゆかりと共に、俺達はタルタロスの中を進んでいく。
 出てくるシャドウはゆかりや荒垣、そして時々俺といった風に倒しつつ、途中で幾つかの魔法の籠もった宝石や、傷薬といった物を入手し……やがて30階に到着する。

「……駄目か」

 そう呟いたのは、俺。
 もしかしたら、30階には番人シャドウがいるのではないかと、そう思っていたのだが、道が迷路状になっているのを見た時点で、既にここが普通の階層であるというのは理解してしまった。
 つまり、次の番人シャドウは35階か、40階か……そんなところにいるのだろう。
 意外と1階ずれているだけで、31階とかだったりする可能性も十分にあるが。

「あ」

 そんな風に考えながらタルタロスの中を歩いていると、曲がり角から突然シャドウが姿を現す。その数2匹。
 いや、それだけであれば、そこまで驚くような事もなかっただろう。
 だが、現れたシャドウは、俺の見間違いでなければ間違いなく手首の形をしたシャドウ、ダンシングハンドの筈だ。
 何階だったか……そう、多分10階だったと思うが、10階の番人シャドウとして姿を現したシャドウと全く同じ相手。
 もしかしたら、別のシャドウという可能性もない訳ではないが、こうして見る限り、多分同じシャドウで間違いないと思う。

「アクセル、私がやるわ」
「……ま、俺もやるか」

 ゆかりと荒垣の2人が、そう言って前に出る。
 そんな2人に、ダンシングハンドも気が付いたのだろう。
 2匹のダンシングハンドは、アギとブフをそれぞれ放つ。
 そんな2匹を相手に、ゆかりと荒垣も一気に攻撃を仕掛けていく。
 俺は、もし何かあったらすぐにでも対処出来るように戦闘を見守る。
 だが……ゆかりと荒垣。ペルソナ使いの中でも突出した2人は、特に苦労するような事もなく、ダンシングハンドを倒す。
 こいつら、こんなに弱かったか?
 そうも思ったが、これはやっぱりペルソナ使いとして成長している……と、そういう事なのだろう。

「ふふん。どう?」
「ああ、ゆかりは間違いなく強くなってるよ」

 ダンシングハンドを倒したゆかりに対し、そう告げる。
 実際、その言葉は決して間違っている訳ではない。
 それだけの実力を発揮したのは、間違いなく事実なのだから。
 ゆかりも、お世辞とかではなく本気で俺がそう言っているのを理解したのだろう。
 嬉しそうな笑みを浮かべ、……機嫌良く頷きを返してくる。
 そんな訳で調子のいいゆかりや荒垣は、次々にシャドウを倒しながらタルタルロスを攻略していく。

「……死神、出てこねえな。今までの事を考えれば、そろそろ出てきてもおかしくねえと思うんだが」

 荒垣が腑に落ちない、また不気味そうにそう言ったのは、34階で上に……35階に続く階段を見つけた頃だった。

「おい、妙なフラグを建てるなよ。出来れば今回、死神には出てきて欲しくはないんだからな」

 死亡フラグ……とまではいかないが、死神の出現フラグを建てる荒垣の言葉に、嫌そうに返す。
 実際、死神はいつ出てくると決まっている訳ではない。
 今までにも、長期間タルタロスの中にいても全く遭遇しなかった……とか、そういうのはおかしくないのだから。
 それこそ、死神が姿を現すのは、完全にあっちの都合でしかない。
 その気になれば、もしかしたらタルタロスの外に出てきてもおかしくなはい。
 そう思うのは、俺だけ……って訳でもないだろう。

「あ……でも、魔力がそろそろ、ちょっと厳しいかも?」

 ふと、ゆかりが呟く。
 まぁ、無理もない。ゆかりのイオは牛の頭蓋骨に乗っての物理攻撃が非常に目立つペルソナだが、実際には魔法をメインとした……それこそ回復役がメインのペルソナだ。
 ゲームで言えば、格闘家とか戦士とか、ましてや魔法使いでもなく……僧侶な訳だ。
 もっとも、その僧侶は並のシャドウは体当たりで轢き殺し、ガルという風の攻撃魔法を使いこなすという、非常に物騒な僧侶だが。
 だが、それだけに、魔法を使う事によって魔力を消耗するのはどうしようもない事実だ。
 ましてや、今日はゆかりのストレス発散的な意味もあり、最初からかなり派手に魔法を使っていた。
 そう考えれば、門番シャドウに挑むかもしれないとなると、少し厳しい……と考えてもおかしくはない。

「そうだな、なら魔法を使わない戦闘を心がけてみたらどうだ? 弓とか、イオの突撃とか」
「そうね。そうした方がいいかしら」

 少しだけ自信なさそうに呟くゆかり。
 何だかんだで、ガルはイオやゆかりにとって、攻撃の主体として組み入れられていたしな。
 ちなみに荒垣の方は、カストールが元々肉体派――という表現が正しいのかどうか分からないが――のシャドウだから、魔力的にそこまで問題はないらしい。
 もっとも、そうなると物理攻撃に強いシャドウとかが出てくると厄介な事になりかねないのも間違いないんだが。

「っと、そんな事を言ってる間にも来たぞ」

 新たに現れたシャドウ……王冠の中に本を持っているシャドウだな。
 以前これと似たようなシャドウと遭遇した事はあるが、ダンシングシャドウと違って、このシャドウは別物だ。
 そんなシャドウが3匹。
 いい機会なので、ゆかりには魔法を使わせないようにして戦わせる。
 荒垣の方はいつも通りだが。
 ……魔法を使えないってのは、不利ってだけじゃないよな。
 こうして魔力切れとかの心配はいらないし。
 そんな風に考えている間にも、戦闘は続く。
 ゆかりの弓とイオの突撃。
 ……うん、この本を持ってるシャドウは物理攻撃に強いって訳じゃないみたいだし、問題はない。
 そうして無事に戦いも終わり……俺達は35階の探索を行い、やがて階段を見つける。

「35階にもなかったってことは、やっぱり次の番人シャドウは40階か。……ゆかり、暫くは物理攻撃主体で頼むぞ」
「分かってるわよ」
「荒垣はいつも通りで」
「だろうな」

 そうやって言葉を交わしながら、俺達は階段を上り……

「あー……まぁ、こういう事もあるか」

 その階が、明らかに今までとは違うことに気が付き、呟く。
 だが、俺に向けられるのは、ゆかりと荒垣のジト目だ。
 別にこの階に番人シャドウがいると知っていて、さっきみたいな事を言った訳じゃないんだし、そうやって責められても微妙に困る。
 ともあれ、折角番人シャドウのいる階までやってきた……つまり双方向ターミナルのある場所までやってきたのだ。
 なら、ここで退くという選択肢は有り得ない。
 それに、いざとなったら俺達の場合は影のゲートという逃走手段もある。
 実際に影のゲートを使うには、身体を影に沈ませるといった行為も必要になるのだが。
 そうして、取りあえず挑むという事になり……通路を進んだ先に姿を現したのは、台座と像? といった感じのシャドウ。
 以前もそうだったが、1匹で現れるシャドウというのは、それなりの強さを持つんだよな。
 ……とてもではないが万全とはいえないゆかりの状況だったが、さて、どうするか。
 そう思いつつ……それでも強敵との戦いは間違いなく糧となるのだから、俺が戦うのではなこう、ゆかり達に戦わせるべきだと判断する。

「ゆかり、荒垣。お前達で戦ってみろ。いざとなったら助けてやるから、心配するな」
「……ふざけんな。別に助けなんざいらねえよ。岳羽、行くぞ」
「あ、はい」

 そう言い、ゆかりと荒垣は像のシャドウに向かって進んでいくのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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