夢幻水滸伝
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第三十四話 博多と大宰府その一
第三十四話 博多と大宰府
吉川は海から戦局を見ていた、自軍の動きも敵軍の動きも星同士の一騎打ちも。そのうえで傍に控える士官達に言った。
「これでだ」
「この戦は終わりますか」
「我々の勝利で」
「その様に」
「そうだ」
まさにという返事だった、彼の今のそれは。
「これでな」
「星の方々同士の一騎打ちは互角ですが」
「兵同士の戦で、ですね」
「この戦は決まる」
「そういうことですね」
「その通りだ、この世界の戦は両方だ」
星の者と軍勢、その両方で行うものだというのだ。
「星の者が軍勢を攻めてその逆もあるがな」
「今の戦では星同士と軍勢同士が分かれていますし」
「だからですね」
「今は軍勢同士での戦で決める」
「そうした状況だからこそ」
「元々我等は軍勢の数と装備で勝っていた」
その両方でというのだ。
「なら後はだ」
「采配ですね」
「それで決められますね」
「星の者を全て動けなくするとな」
そうすればというのだ、絶大な力を持つ彼等を。
「後は軍勢だが」
「まず数と装備」
「その二つで優勢である」
「そしてそこに采配も加われば」
「必ず勝てますね」
「そうだ、しかも我々はまだ星の者達がいる」
一騎打ちに出してもというのだ。
「私も然り、そしてだ」
「井伏さんや正岡さん」
「あの方々もですね」
「私も含めて八人もいる」
今一騎打ちを行っていない関西の星の者達はだ。
「ならばだ」
「その八人の采配と力もある」
「それならばですね」
「必ず勝てる」
「そうなりますね」
「博多、そして大宰府は我々のものだ」
必ずそうなるというのだ。
「これからな。ではだ」
「はい、これよりですね」
「果敢に攻めて」
「そして勝ちますね」
「そうなる」
吉川は言い切った、そして艦隊にそのまま彼の指示の下砲撃を行わせ続けた。九州の軍勢を的確に攻め続けさせていた。
井伏は右、正岡は左、そして織田と四人は正面からだった。九州の軍勢に攻勢に入った。井伏は自ら先陣に立ち兵達を指揮しながら言った。
「今からじゃ」
「はい、これからですね」
「派手に攻める」
「そうしますか」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「そうして攻めるんじゃ」
「左手の軍勢も動いてます」
部将の一人がここで井伏に言ってきた。
「正岡さんが率いる方も」
「そうじゃな」
「それで我々も」
「攻めるんじゃ」
まさにというのだ。
「ええのう」
「そして井伏さんも」
「これからですね」
「やったるわ」
四股は踏まない、だがその全身に力士の気合を入れつつ兵達に応えた。
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