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夢幻水滸伝

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第三十三話 強行上陸その十二

「ご安心下さい」
「ほなな」
「はい、ここは」
「任せる、後前は」
 井伏はさらに言った。
「あの四人じゃのう」
「はい、わかってます」
「うち等もいますさかい」
「井伏さんと正岡さんは安心して攻めて下さい」
「そうして下さい」
 四人で貝殻から井伏に答えてきた。
「織田君と一緒に戦います」
「前から」
「このまま攻めますさかい」
「安心して下さい」
「わかった、ただ調子には乗らんことじゃ」
 井伏も四人にこう言った。
「ええのう」
「井伏さんもそう言います?」
「うち等が調子乗りって」
「それでええ加減やって」
「そう言います?」
「事実じゃからのう」
 井伏から見てもというのだ。
「だからじゃ」
「そうですか」
「何でうち等はこんな信頼ないんやろ」
「言われた仕事は真面目にしてるのに」
「貰ったお金の分は」
「日頃の暮らしを見てじゃのう」
 四人のその日常の暮らしぶりをだ、能天気に遊んで食べて飲んで騒いでの毎日パジャマパーティーの様な暮らしがだ。
「やっぱりのう」
「ううん、いじめもカツアゲもせん」
「嘘も言うことはしない」
「公平で優しく気前よく」
「そうして暮らしてますのに」
「そうしたところはええんじゃ」
 別にというのだ。
「常識じゃが常識がない奴もおるがのう」
「クラスでお菓子食べるだけです」
「よく遅刻ギリギリに登校しますけど」
「あと道草もよおしますし」
「制服の着こなしも着崩してますけど」
「微妙に生活態度が悪いぜよ」
 正岡はこう思った。
「プチ不良みたいな感じぜよ」
「髪の毛もちょっと染めたり」
「アクセサリー付けたり」
「あと見せパン派手やったり」
「けれど男遊びも援交とかもしません」
 四人は正岡にも話した。
「いじめとかカツアゲとか見たら止めてます」
「そこも真面目にしてますで」
「お料理とかお裁縫とか女子力アップにも励んでますし」
「彼氏は一人って決めてます」
「つまりこうですね」
 織田は四人の話をここまで聞いて彼女達をこう判断した。
「微妙に真面目で微妙に不真面目なのですね」
「何でも微妙かいな」
「うち等の場合はそうかいな」
「何かそう言われると小市民やな」
「そやな」
「人間はそんなものぜよ」
 正岡は四人に馬の大きな口をさらに大きく開けて笑って話した、そこには彼の器が見えているかの様だった。
「些細ないいことと悪いことが療法あるぜよ」
「そんなもんですか」
「うち等もそうですか」
「些細にええ子で些細に悪い子」
「両方なんですか」
「そんなものぜよ、そしてわしが今言うことは」
 四人にあらためて話した。
「おまん等に前から攻める軍勢の指揮を頼むことぜよ」
「ほなやりますわ」
「それが仕事ですし」
「この美少女四天王の力見せてやりますわ」
「ちょっとやそっとの力やないですで」
「頼んだぜよ、じゃあ井伏の」
「ああ、正岡の」
 井伏は正岡にはもう友として応えていた、そこには既に同じ釜で飯を食う者同士の絆が強く出ていた。
「攻めるか」
「今から」
 こう話してだった、二人はそれぞれ左右の軍勢の指揮に入った。そうして織田とその四人もだった。
「では我々も」
「攻めていこか」
「それでこの戦の勝敗決めような」
「星同士の一騎打ちとは別に」
「まず兵同士の戦を勝とうな」
 それぞれ言いそしてだった、関西の軍勢は吉川の砲撃の意味を理解したうえで攻勢に入った。九州北岸での戦は大きく動いた。


第三十三話   完


                  2017・9・8 
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