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とある3年4組の卑怯者

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73 延長戦

 
前書き
 男子サッカー、4組対1組の試合、藤木は1組の強力なプレーで2失点してしまう。そしてケン太のシュートでようやく1点を返したものの、2-1と1点のビハインドで前半戦を終えるのだった!! 

 
 4組対1組の試合、後半戦が始まった。

 4組
 FW(フォワード)
 大野、杉山、ケン太、
 MF(ミッドフィルダー)
 ひらば、丸尾、花輪、長山
 DF(ディフェンダー)
 ブー太郎、若林、たかし
 GK(ゴールキーパー)
 はまじ

 1組
 FW(フォワード)
 本郷、西澤(にしざわ)中山(なかやま)
 MF(ミッドフィルダー)
 戸田(とだ)小野(おの)森島(もりしま)稲本(いなもと)
 DF(ディフェンダー)
 中田(なかた)宮本(みやもと)秋田(あきた)
 GK(ゴールキーパー)
 川口(かわぐち)

 藤木は応援に回ったが、できるなら指示を出したい気持だった。

 4組からのキックオフだった。ケン太がボールをドリブルする。それを大野に、そして杉山にパス。杉山の所へ秋田がボールを奪いに来た。杉山はケン太にパスした。ケン太がボレーシュートする。しかし、キーパーの川口は必死で受け止めた。川口は小野にボールを投げた。藤木は小野はそこでフォワードの誰かにパスするのではと予測した。
「フォワード三人をマークするんだ!!」
 藤木は思わず叫んだ。ブー太郎達ディフェンダーも少し驚いたが、大野も皆に呼び掛けた。
「そうだ、本郷、西澤、中山には渡すな!!」
 ブー太郎が本郷を、たかしが中山を、若林が西澤をマークした。ミッドフィルダーもボールを奪い返そうとする。小野は稲本にパスした。しかし、そのボールを杉山がカットし、ケン太にロングパスした。ケン太がシュートを放つ。川口はボールを取り損ねた。ついに4組が同点に追い付いた。
「やった!!」
 ケン太ら出場している者も、藤木ら応援に回っている者も皆喜んだ。

 しかし、1組も反撃にかかる。本郷がボールを蹴ると、次に西澤、中山、また本郷と激しいパスを回していた。4組のディフェンダーもミッドフィルダーもボールを奪うことがなかなかできない。そして本郷がシュートする。たかしがカットしようとするも間に合わず、そのボールははまじを襲う。はまじがボールを取ろうとする。しかし、ボールを弾いて、ゴールインした。1組に勝ち越された。そして4組のキックオフ、大野がボールを蹴り出した。宮本がインターセプトしようとする。大野は杉山にパスした。そして杉山がシュートを試みる。しかし、川口はゴールを死守した。川口が中田へボールを投げ、中田は森島、そして森島は西澤にパスした。しかし、西澤がドリブルしようとする所を長山がインターセプトした。丸尾の所にボールが転がったが、丸尾は蹴り損ねてボールを外に出してしまった。
「申し訳ございません、長山君!」
「いいよ、いいよ!」
 丸尾は長山に謝ったが、長山は普通に許した。
 
 1組の中山がスローイングした。ボールは本郷の方に飛んだ。本郷がシュートを放つ。しかし、今度ははまじはゴールを許さなかった。はまじがボールを花輪に投げた。小野と稲本がボールを取りに来た所で花輪はひらばにパスした。ひらばがドリブルし、そしてケン太に繋ごうとする。ところが宮本がヘディングでカットした。その宮本がボールを捉えた後、ドリブルする。そして本郷へロングパスした。
「ディフェンダーの皆で本郷君をマークするんだ!」
 藤木は必死になって叫んだ。ブー太郎も、若林も、たかしも本郷を取り囲んだ。本郷はボールを受け取るも突破ができなかった。他のフォワードも4組のミッドフィルダーにマークされている。本郷は仕方なくバックパスした。小野がそれを受取ろうとするも、ケン太にカットされた。
そしてケン太がシュートを試みる。しかし、今度はゴールポストに当たって跳ね返ってしまった。
「惜しかったな、ケン太!」
 大野が残念がった。ボールは秋田が捉えた。そのボールを秋田が必死でドリブルし、戸田にパスした。しかし、戸田を花輪と長山がボールを奪いに来た。戸田が森島にパスしようとするも、長山にカットされ、それをひらばにパス、しかし、稲本に奪われ、稲本は本郷へロングパスした。そして本郷がシュートした。しかし、そこでブー太郎がヘディングでカットしようとした。ボールが顔面に当たった。ボールは若林の方へ飛んだ。中山がボールを奪いに来た。若林は花輪の方へパスした。しかし、西澤がボールを奪った。西澤はひらばやたかしのタックルをかわしてシュートした。しかし、ボールはゴールの上を越えた。4組のゴールキックとなり、はまじがボールをキックした。ブー太郎がボールを受け取る。ブー太郎は大野へのロングパスを敢行した。しかし、ボールは戸田が奪った。花輪と長山がボールを奪いに行く。戸田が小野へパスしようとした。しかし、そこに何と丸尾が「うおおおおーーーっ!」と叫びながら決死のスライディングでボールをカットした。ボールは杉山が捉えた。
「ナイスカットだ、丸尾!」
 杉山はそう言って1組の陣内を突き進んだ。
「運動音痴の丸尾君が必死のプレーを見せたね」
 山根が丸尾に感心した。
「ああ、これは彼のファインプレーだね」
 永沢が無表情で言った。
 杉山がペナルティーエリアに入る直前でケン太にパスした。ケン太はそれをシュートした。しかし、川口はそれをパンチングして、ボールを外に出した。4組のコーナーキックとなり、杉山が蹴ることになった。藤木は必死で呼んだ。
「ミッドフィルダーも攻撃に入るんだ!!」
 藤木の声で花輪らミッドフィルダーもペナルティエリア付近に走り込んだ。杉山は大野に向かって蹴った。中田がボールをカットした。しかし、ひらばがボールを奪いに来た。中田とひらばのボールを奪い合いが続く。
「中田!こっちへパスしろ!!」
 宮本に呼ばれて中田は宮本にパスした。しかし、花輪が渾身のスライディングでカット、そしてゴールへ飛ばした。しかし、川口は何とか止めた。

「前半戦の楢崎君も堅い守りだけど、川口君の守りも凄いね!」
 藤木は川口に驚いた。
「うん、君よりも ずっと上手いね」
 永沢が藤木を愚痴るように言った。
(そりゃそうだけど、そんな事言わなくてもいいじゃないか・・・)

 川口はボールを稲本の方向へ投げた。稲本がそのボールを受取ろうとする。しかし、若林がそれをヘディングで妨害した。ボールは外へ出た。稲本がスローイングする。しかし、それをケン太が胸トラップして奪い取った。そしてセンタリングのような強烈なシュートを決めた。川口は手を伸ばす。ボールはゴールに入った。ようやく同点になった。
「ナイスシュートだぜ、ケン太!!」
「ありがとう!」

 今度は1組のキックオフとなった。本郷がボールを蹴り出す。もう時間は残り僅かだった。
(これで1組に勝ち越されたらもう負ける・・・。こちらが逆転できるか可能性は低いからPK戦にもつれ込ませるしかない・・・!!)
 藤木は同点の状態を守り抜くしかないと思った。
 若林とたかしでボールを奪いに来た。しかし、本郷は必死にかわして。本郷がシュートする。そのボールをブー太郎がヘディングで弾こうとする。しかし、頭に擦っただけだった。はまじもボールに飛び付いた。ボールを止めた。
 はまじはボールを遠くに投げた。それを大野が受け止める。しかし、そのボールを小野と森島がスライディングタックルでボールを奪った。戸田が零れ球を取り、ドリブルした。丸尾のマークも容易にかわして西澤にパスした。しかし、花輪がカットした。そして杉山にパスした。ところが秋田がカットした。だがひらばと長山がそれをマークした。ボールの奪い合いとなる。秋田はパスしようにもできなかった。時間が過ぎていく。そして遂にひらばがボールを奪った。そこでホイッスルが鳴った。3-3の同点となり、PK戦が決定した。
「よし、俺と杉山とケン太で行くぞ!キーパーは小杉がやってくれ!」
「お、おう!!」
 小杉は給食を食べた後なので空腹に困る事は今の所なかった。1組先攻、4組後攻のPK戦が始まった。

 1組のPK戦。最初は前半戦に出場していた高原が蹴ることとなった。小杉がゴールで構えた。高原がキックする。小杉は「うおおおー!!」と吠えながらボールに飛びついた。ボールを止めた。そして次は西澤がボールを蹴った。小杉はそれも止めた。そして最後、本郷が蹴る番になった。本郷がボールを蹴った。小杉はボールを取ろうとした。しかし、ボールは一度掴んだが、小杉は勢いに押されてボールを話してしまった。1組が1点リードした。もし4組がこれで1点ならさらに延長の可能性があるが、全てのシュートを止められると負けが確定してしまう。1組のキーパーは曽ヶ端が担った。最初は大野がキックした。しかし、曽ヶ端はボールを弾き返した。次は杉山がキックした。ボールは曽ヶ端の両手に納まった。しかし、勢いでボールは曽ヶ端の手を弾いた。ボールがゴールインした。同点になったのだ。
 そして、最後はケン太がボールを蹴る番だった。
(ケン太君、頑張ってくれ・・・!!)
 藤木は必死で祈った。
(曽ヶ端君、全力で止めてくれ・・・!!)
 本郷も曽ヶ端のキープを祈った。ケン太がキックした。曽ヶ端が飛び込む。ボールは曽ヶ端の手を掠めた。ボールはゴールに入る。その瞬間、4組の勝利が確定したのだった。
「やった・・・。やったーーー!!」
 藤木は我が事のように喜んだ。皆も歓喜に酔いしれていた。

 一方、1組の方は曽ヶ端が悔しさで拳を地面に叩きつけた。
「くそ!ごめんよ!!皆!!俺、ホント情けないよな・・・!!」
 本郷が慰めた。
「自分を責めるなよ、曽ヶ端君。君も全力を出して頑張ってくれたよ」
「あ、ああ・・・」

「よし、俺達の試合は全部終わったし、後は女子の試合見に行こうぜ!」
「ああ、そうだな!!」
 大野と杉山はそのような会話をしていた。他の皆も女子のバレーボールの応援に向かった。
(リリィ、笹山さん・・・。今そっちに行くからね・・・)
 藤木はそう思いながら体育館へと向かった。 
 

 
後書き
次回:「裏切者」
 女子バレーボール、4組対5組の試合が始まった。たまえと橿田にとって因縁の対決となる試合となった。ところが試合序盤にたまえの親友・まる子にいきなりアクシデントが・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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