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テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―

作者:夕影
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第六話




「――赤い煙?」


「あぁ。ありゃ、どっからどうみてもおかしなもんだったぜ」

食堂にて、僕はオルタータ火山の調査に加わっていたユーリからそんな話を聞いていた。

結局、オルタータ火山の星晶採掘跡もコンフェイト大森林と同じ状態になっていたらしい。
そして一番の収穫と言える話は『赤い煙』。
何でも、星晶採掘跡の原因で貴重な種であるらしいコクヨウ玉虫…とかいうのが大量に死んでいたらしい。
そしてその内の生きている一匹に、突然赤い煙が現れコクヨウ玉虫にまとわり、消えていったとか。
それで、現在その一匹はウィルさんが採取して今観察しているらしい。


「赤い煙、かぁ。なんか変な話だねぇ…。あ、チョコケーキ、もう一個追加で」


「生憎、こちとら生で見ちまったからな。信じずにゃいられねぇよ。……ったく、あんまし食い過ぎんなよ」


赤い煙についての話をしながら、ユーリの作ってくれているチョコケーキを口に運ぶ。
うん、流石ユーリ。普通に店とか開けるんじゃないだろうか。

「まぁ、詳しい事はウィル達が考えてるんだし、私達は私達の出来ることすればいいのよ。ユーリ、私もケーキ追加」


「それもそうだな。俺は考えるよりも、動くのが優先派だし。へいへい…ってお前、何時の間に居やがった」


「ケーキと聞いて黙っていられなかったわ」

追記。最近ユーリがケーキ調理中の時は、ロッタが神出鬼没になります。








―――――――――――



「――ゴホッ…では、そういう事で……」


「――……分かりました」


依頼が何か出ていないか気になりホールに出ると、アンジュと、やけに顔色の悪い男性が話をしていて、男性がホールを出て行っていた。



「……アンジュ、さっきの人は?」


「依頼者の方よ。モラード村のジョアンさんで、ブラウニー坑道の奥地まで護衛をお願いしたいらしんだけど……」


「……大丈夫なのかな、あの人」

やけに顔色悪かったけど……何でそんな状態でわざわざブラウニー坑道に…


「なんでも医者もさじを投げた程、重い病気らしいの。それで何でもそのブラウニー坑道の奥地に、病気を直す方法があるって言っていて」


「病気を治す……?それって一体……」


「私も深くは分からないわ。でも、依頼を頼まれた以上、私達もその依頼を受ける立場なんだから断れるわけないわ」


そう言って先程のジョアンさんの依頼内容を紙に纏めるアンジュ。
『医者でさえさじを投げる病気を治す方法』、か……。


「……アンジュ。その依頼、僕受けるよ」


「あら、本当?」

「うん。流石にあんな状態の人を見て見ぬ振りなんて出来ないし、それに……その『治す方法』って言うのが気になるからね」


「……そう。分かったわ。じゃあ、他に依頼を受ける人が増えるまで待っててね」


アンジュの言葉に頷いた後、僕は準備の為に自室へと向かった。
『病気を治す方法』……なんか嫌な予感がするんだよなぁ。





―――――――――――


その後、ジョアンさん護衛メンバーも決まり、今はブラウニー坑道の中を歩いている。
メンバーは僕、メリア、ファラ、マルタといった、『あれ、男って僕とジョアンさんだけじゃん?』パーティーだった。


それで現在、先頭では僕とファラが歩き、後方ではメリアとマルタがジョアンさんを守りつつ歩いている。
歩きながら話を聞いたが、なんでもジョアンさんの友人であるミゲルさん、と言う人も同じ病気だったらしく、この道中で発作が始まり身動きが取れなくなり、死を覚悟した際、何かが起こりそのミゲルさんは病気が治ったらしいのだ。


「……ジョアンさん、大丈夫かな?さっきから後ろで気になるくらい咳き込んでるけど…」


「そうだね……。さっき聞いた話なんだけど…ジョアンさん、もう長くないみたいなの…」


先頭を一緒に歩くファラにそう話しかけると、ファラは一度、心配そうに後方のジョアンさんを確認した後、そう切り出す。


「やっぱり、か……。それにしても……『病気を治してくれる存在』…か」


「本当にいるのか分からないけど……まずは行ってみないと分からないよ。……だから、私達はそこまでしっかりとジョアンさんを護衛しましょう!大丈夫、イケるイケる!!」


先程までの重い空気を変えるように、右腕をグッと上に伸ばしそう元気に言うファラ。
……うん。なんでこのメンバーにファラが居るのか、段々分かってきた気がした。










―――――――――――



その後、向かい来るモンスターを撃退しながらなんとか指定された二層目の奥地まで来る事が出来た。

――が、そこにも案の定、魔物はいた。

岩で構築された独特な巨体。『ストーンゴレム』であった。


「うわぁ……すっごい硬そうなんですけど……」



「でも……アレを倒さないとだめみたいだね」


各々の武器を手に持ち苦笑いしながらそう言い合う。向こうのストーンゴレムは依然やる気満々と言わんばかりに腕を回している。


「……嫌だなぁ。よし、マルタとメリアはジョアンさんの護衛をお願い。僕とファラで、ストーンゴレムを叩こう」


「えっ!わ、私もちゃんと闘うよっ!」


「……衛司…何で……?」


「うん。マルタの言葉は嬉しいけど……この依頼はあくまでジョアンさんの護衛だからさ。もし僕達全員がストーンゴレムと闘ってる間に、他の魔物が現れてジョアンさんに襲いかかってきたらって考えて。マルタは後衛からでも回復魔法で援護してもらえるし、メリアは僕達が抜かれた時の最後の要だからさ。ちゃんと二人を信頼しての配置だよ」


どこか物言いたげな二人に僕の出した案の理由を説明する。これは僕なりに考えた配置である。僕達の依頼の重要点はあくまで、ジョアンさんを無事に護衛する事。その事も考えて、前衛である僕とファラでストーンゴレムに向かい、このメンバーの中で一番の実力であるメリアと回復魔法で後衛から援護可能なマルタをジョアンさんの付近に配置する。
これがあくまで僕が考えた最高の配置である。



「う〜……分かった。でも、絶対勝ちなさいよねっ!」


「……衛司、ファイト……」


不満げながらも納得しそう言いマルタと無表情ながらもそう言ってくれるメリア。
よし、やる気出てきた。


「じゃ、ジョアンさん。もうちょっとだから、待ってて下さいね」


「……ゴホッ…すい、ません……わざわざ私の為に……」


「いえいえ。絶対、ジョアンさんを助けますよ」


顔色の悪いジョアンさんに、そう言って少しでも安心させようと笑ってみせる。


僕は武器である木刀を手にファラと共にストーンゴレムの前へと立つ。

「……間近で見るとやっぱりこう…強そうだね」


「あはは…。でも、きっと私達なら勝てるよ」


「イケるイケる、ってね。よし……じゃ、人助けの為に出来る限り頑張ってみようかっ!!」


僕が木刀を、ファラが拳を構えたと同時に、ストーンゴレムはその腕を震い上げる。

そして、戦闘は始まった――




 
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