八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百三十四話 件その九
「予言をしない限り永遠に生きる」
「それは妖怪ならではですね」
「本当にそうですね」
「予言をするのなら」
「牛女もまた」
「何かあれですね」
僕もここでまた言った。
「牛女と件のことは考えていくと考えるだけ複雑で難しくて」
「謎が多いだけに」
「色々想像もしますね」
「そうですね」
「実際はわからないですが」
牛女がどういった存在であるかだ、妖怪だから謎が多いにしてもどうしても考えていってしまう。
そしてだ、考えてもこれだという答えは出ない。妖怪とはそれ故に面白いのかも知れないけれど。
「色々思いますね」
「どうしてもですね」
「そうなりますね」
「予言をしない件となりますと」
それは何かというと。
「死なないんですか」
「予言をすると死ぬのなら」
逆説的にだ、どうなるかというのだ。
「予言をしないと死なない」
「そうした妖怪ですか」
「それで牛女もです」
「予言をしていないので」
「生きているのかも知れません」
「そうしたものですか、何か」
二人の話を聞いてだ、僕は正直にこう思った。
「牛女自身に会いたくなりましたね」
「それで本人から聞きたい」
「そう思われますか」
「はい、現実にどうなのか」
生い立ちはともかく本当に予言が出来るのか、つまり実は件であるのかどうかということをだ。
「聞きたいですね」
「六甲に行かれて」
「そのうえで」
「牛女自身から聞きたい」
「そうも思われていますか」
「はい、まあそれでもですね」
実際に六甲に行ってもとだ、僕は言った。
「けれど」
「妖怪に会うにはです」
「どうも会いたくて会えるものではないです」
二人で僕にこう話してくれた。
「会おうと思えば巧みに身を隠す」
「そうした存在です」
「ですから見たい、会いたいと思い行かれても」
「それでもです」
「そうですね、学校でもですね」
妖怪スポットの塊の八条学園でもだ。
「実際のところです」
「会いたいと思って会えた人はいないですね」
「どの妖怪も偶然に見ています」
「そうした目撃例ばかりです」
「八条学園にしましても」
「そうですよね、やっぱり妖怪は」
僕は牛女も学園の妖怪対tのこともここで思った。
「会いたいと思って会えないですね」
「本当に隠れてしまいますね」
裕子さんが言ってきた。
「そう思って行けば」
「そうですよね」
「僕もそうしたことがありました」
それは何時かというと。
「中等部の時並木の幽霊の話を聞いて」
「学園の中の」
「それで夜に友達何人かとあえて行って」
実際にそうした、中学二年の夏のことだった。
「いるかどうか探しましたが」
「会えなかったですか」
「はい」
出るという時間になってもだ。
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