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夢幻水滸伝

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第三十一話 神具同士の攻防その七

「そして相手が来れば」
「その時はでごわすな」
「はい、受けて立ちます」
 彼もというのだ。
「私の神具で」
「ではその時はでごわす」
「はい、お任せ下さい」
「わかったでごわす、では」
「これよりですね」
「星と星の勝負でごわす」
 それになるとだ、北原は自ら言った。
「派手な宴になるでごわすよ」
「敵の小舟、来ますたい!」
 足軽から報告が来た。
「では」
「この船にあえてでごわす」
「迎え入れてですね」
「おい達が迎え撃つでごわす」
 こう言ってだった、北原は中里達が乗っている小舟にあえて攻めを加えさせず自分達の船に乗り込ませた、中里達は接舷すると即座に彼等の船に飛び移った。そうしてすぐに北原達の前に出たが。
 中里は北原、そして彼と共にいる九州の星達と対峙した。中原の後ろには夏目と玲子それに四人がいる。最初に中里が言った。
「来たで」
「待っていたでごわす」
「中里雄一、関西の軍勢を率いてるわ」
「北原当麻でごわす、九州の棟梁でごわす」
「そやな、そしてこの戦でや」
 中里は自分と同じ笑みを浮かべて対峙し名乗った北原に対してこうも言った。
「軍門に降るな」
「その言葉そのまま返すでごわす」
「降るのは僕等か」
「そうなるでごわす」
「言うもんにゃな、ほなどっちがそうなるか」
「これから決めるでごわすか」
「そうするか、行くで」
 童子切を右手に、千鳥を左手に持っていた。北原は既に金棒を出している。二人は構えを取ってまた言った。
「挨拶は今の行くで、ええな」
「参るでごわす」
 闘いの前の言葉を交わせて二人は一騎打ちに入った、北原は巨大な金棒を船の上で縦横に振り回し中里を攻める。
 一見大振りで無駄のある振りだ、だが。
 それは違っていた、的確で振りも速く無駄のない動きだ、中里は攻撃をかわしつつ攻撃を繰り出す北原に言った。
「やるのう」
「おいの本領は学問と政と思っているでごわすが」
「戦もやな」
「こうして出来るでごわす」
「一騎打ちもやな」
「そうでごわす」
「そうやな、一撃でも受けたらや」
 それこそというのだ。
「神具の具足着けてるけどかなりのダメージは免れん」
「それがないと死ぬでごわすよ」
 その肉体はというのだ。
「そうなるでごわすよ」
「そやな、しかしな」
 それでもというのだ。
「当たらんかったらどういうことはない」
「おいの攻撃もでごわすか」
「そや、この通りかわせばいい」
 刀で受けることは無理だ、質量が違う。中里は最初からわかっているのでそれでかわすことに専念しているのだ。
 そしてだ、かわすその合間に。
 二刀を一閃させて気や雷を放つ、北原はその気も雷も金棒を受けて防いでいるが中里も攻めている。
 その彼の攻撃にだ、北原は言った。
「油断するとでごわす」
「防げんな」
「そうでごわす」
「こっちも相当に攻めてるけれどな」
「おいだから防げるでごわす」
 童子切から放たれた気の刃を金棒で受け止めつつ言う、ぶつかり合った衝撃音が船に響く。 
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