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夢幻水滸伝

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第三十一話 神具同士の攻防その五

「充分過ぎる程な」
「褒めるんやったらな飯奮発してもらうか」
「何がええねん」
「スパゲティカルボナーラどっさりや」
「日本の霊獣でそれか」
「こっちの世界では食えるからええねん」
 そのカルボナーラもというのだ。
「別にな」
「そういえばそうか」
「大蒜とオリーブも忘れんことや」
「余計に和風やないな」
「そやからそれがこっちの世界や」
 料理や服装は室町時代の日本の趣の中でも違っていたりするというのだ、鵺は中里にこのことも話した。
「それは自分もわかってるやろ」
「ステーキも食うてるしな」
「そやからな」
「このことはか」
「別にええんや」
 カルボナーラを食べてもだ、鵺が。
「そういうことでな」
「この功績にか」
「カルボナーラとワインや」
「わかった、この戦の後で食おうか」
「そうしよな」
 こうした話をしつつだった、鵺は口から超音波を出し北原達の艦隊への攻撃を不防いだ。そして。
 防ぎつつだ、中里と夏目にあらためて告げた。
「そろそろやろ」
「ああ、接舷の船に乗り込んでな」
 中里も応える。
「星と星の戦や」
「そやったらな」
「もうやな」
「そっちに行くんや」
 こう二人に言うのだった。
「ええな」
「わかった、ほなな」
「ここはわしに任せてな」
「自分が防いでいる間にやな」
「連中の船に切り込むんや、切り込んだらな」
 そうして星と星の直接対決に持ち込めばというのだ。
「艦隊を攻めるどころやなくなる」
「僕達との闘いに入ってな」
「そこまでは充分持つわ、わしもな」
 北原達の攻撃を防ぎきってみせるというのだ、息を吐くのも無限ではないということも中里に話していた。
「そやからな」
「今からやな」
「切り込むんや、ええな」
「わかった、それまでは任せたわ」
「そしてカルボナーラとワインや」
「そっちもわかったわ」
 中里は鵺に笑って応えた。
「ほな自分が防いでる間にな」
「乗り込むんや」
「そうするわ、戦局もな」
 吉川が行わせている砲撃は続いている、それによって九州の艦隊は美鈴の幾重もの護りを以てしても損害を増やしている。
 中里はその戦局も見てそのうえで鵺に話した。
「こっちに有利なままや」
「そやろ、ここでわしが食い止めてる間に自分等が接舷したら」
「勝ちやな」
「そや」
 その通りだというのだ。
「後は自分等があっちの星の連中を倒すだけや」
「それが一番しんどそうやけどな」
「それでも出来るやろ」
「今からやって来るわ」
 これが中里の返事だった、そして。
 中里は夏目と共に三笠の傍まで来た玲子と例の四人が乗っている小舟に飛び乗った、玲子は自分のすぐ後ろに膝を折って着地した中里に言った。
「じゃあ今からね」
「行こか」
「楽しいお祭りもね」
「一騎打ちに移るんやな」
「そうなるよ、じゃあ行くよ」
「わかったわ」
「あたしは雪路ちゃんとやるよ」
「では麿は林氏でおじゃるな」
 夏目は微笑んで言った。 
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