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夢幻水滸伝

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第三十話 壇ノ浦の戦いその十一

 芥川は真剣な顔でだ、三笠の艦橋で言った。
「死んどらんのう」
「敵の目が、だな」
「ああ、結構ダメージを受けててもな」
 攻撃が美鈴の結界と風により半減されていてもだ。
「死んでないわ」
「諦めていないな」
「来てるわ、こっちに」
 腕を組んで九州の軍勢の動きを観つつ言った。
「そしてや」
「反撃に転じて来るな」
「間違いなくな、しかしな」
「それでもだな」
「これは予想通りや」
 まさにとだ、芥川の言葉は極めて冷静だった。
「驚くことやない」
「そうだな、ではな」
「ああ、連中が来たらな」
「接舷しようとすれば」
「逆に接舷し返してや」
 そのうえでというのだ。
「逆に攻めたるわ」
「やられる前にやれ、だな」
「僕は攻撃型の策の方が得意や」
 守るよりもというのだ、芥川は軍師としてはどちらかというと攻撃的で守りは忘れないがそうした策の方が好きなのだ。忍術もそちらに使うことが多い。
「そやからや」
「あの策も考えたな」
「そういうことや」
「その策でいいと思う、私もな」
 吉川は敵のその動きを凝視しつつ芥川に答えた。
「私も守るよりもだ」
「攻めの方がやな」
「性に合っている様だからな」
「帝国海軍みたいにやな」
 今着ているそれもだ、海軍将校しかも大将のものだ。
「攻める方がやな」
「いい、守るにしてもな」
「攻撃的防御やな」
「その方がいい」
 性格的にというのだ。
「やはりな」
「そやからやな」
「今も攻めている」
「そういうことやな」
「神具も使ってな、それでだが」
 吉川は芥川にさらに話した。
「一つ気になることがある」
「神具のことやな」
「それだ」
 まさにとだ、芥川に返した。
「神具は並のものではない」
「それこそ戦局を変えられる」
 使い方によってはだ、芥川も神具を使っているのでよくわかっていることだ。このことを戦術にも入れている。
「相手もそれは同じや」
「鉄の船でもだ」
 関西の軍勢が今使っている鉄甲船でもというのだ。
「それこそ神具の一撃で沈められる」
「普通にな」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「彼等は充分に逆転出来る」
「しかも相手はな」
「猛者揃いだ」
 神具を使う星の者達の中でもだ、九州の者達はそうした者達が集まっていることで知られているのだ。
「そして神具もだ」
「強いのばかりでな」
「容易な相手ではない」
「そういうことや」
「私の神具は戦闘用のものはない」 
 戦に使うものではあるがだ、吉川はこのことを誰よりもよく認識していてそのうえで戦っているのだ。 
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