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夢幻水滸伝

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第三十話 壇ノ浦の戦いその七

「速度を上げて敵に向かって半月の陣で壇ノ浦に行く」
「わかりました」
「それでは」
 艦長達が応えた。
「その様に」
「艦を動かしていきます」
「適時私の指示通りに動け、そうすれば勝てる」
 強い言葉でこうも断言した。
「わかったな」
「了解」
 艦長達だけでなく他の乗組員達も応える、そしてだった。
 艦隊は壇ノ浦に向かう、それは九州の者達も同じだった。
 北原は自身の艦隊を壇ノ浦に向かいつつだ、傍らにいる美鈴に言った。
「さて、壇ノ浦でごわすな」
「そこでとなりますね」 
 美鈴は北原に応えた。
「戦の場は」
「面白いでごわす」
 楽し気に笑ってだ、北原は言った。
「舞台としては最高でごわす」
「まことに」
 美鈴も同意して頷く。
「この度の戦は」
「ではその最高の舞台で、でごわす」
「勝ちましょう」
「敵はもうこちらの場所をわかっているでごわす」
 このことは彼等もよくわかっていることだ。
「しかしでごわす」
「それでもですね」
「勝つ方法はあるでごわす」
「はい、敵の射程に入れば」
 既にそこから攻められることはわかっている、それならというのだ。
「こちらもです」
「対策があるでごわす」
「はい」
 美鈴は北原にすぐに答えた。
「私に」
「そうでごわすな」
「陰陽術で、です」
 美鈴のそれでというのだ。
「私だけでなく私が率いる」
「陰陽師の隊全体で、ござるな」
「結界を張ります」
 全ての攻撃に対するそれをというのだ。
「そして上空に強い風を出し」
「砲弾を流すでごわすな」
「そうします、それも幾重にもです」
「結界と風をだしてでごわすな」
「防ぎます」
 関西の軍勢の砲撃をというのだ。
「完全に防ぎきれずとも」
「かなりでごわすな」
「その攻撃力を減退できます」
「百の攻撃が半減でもすれば」
 又吉が水軍の指揮を執りつつ応えてきた。
「それだけで、です」
「大きいでごわすな」
「はい」 
 その通りだとだ、又吉は北原に答えた。
「それだけで」
「だからでごわすな」
「是非」
 又吉はまた言った。
「それでお願いします」
「お任せを」
 美鈴は又吉にも敬語で返した。
「そうしてです」
「敵の攻撃を抑えそうして」
「こちらの勝機を作ります」
 損害を軽減して、というのだ。
「そうしますので」
「わかりました、では」
「その様に」
「僕は水軍の指揮に専念します」
「おんしも戦えるにしてもね」
 雪路が又吉に笑って言ってきた。
「それでもね」
「やっぱり僕としてはね」
 又吉は雪路に沖縄訛りの言葉で返した。 
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