レーヴァティン

「これはな」
「そうでござるな」
「確かにオリーブも大蒜も効いててな」
「他の味もでござるな」
「いいぜ、パスタだってな」　
　肝心のそれもというのだ、やはりパスタであるからにはパスタ本体が最も重要なものになる。
「アルデンテでな」
「いいでござるな」
「これならな」
　それこそとだ、フォークを上手に使って食べつつ言った。
「一気に食えてな」
「そしてでござるな」
「他のも食えるぜ」
　見ればマカロニグラタンやラザニア、フェットチーネもある。どれもパスタで当然ワインもある。
「思う存分な」
「そうだね、これはいけるよ」
　淳二はラザニアを食いつつ応えた。
「かなりね」
「だよな、ラザニアも美味いか」
「かなりね、トマトも挽肉もいい感じだよ」
　ラザニアの中にあるそういったものもというのだ。
「特にトマトがね」
「いいんだな」
「相当にね」
「じゃあ次はそれ食うか」
　カルボナーラの次はとだ、久志はそのカルボナーラを食べつつ言った。
「ラザニアな」
「そうするといいと思うよ」
「そうするか、ただフェットチーネはあるからな」
　久志はここでそちらを見た、こちらはネーロつまりイカ墨になっていて黒いその中にトマトや烏賊を切ったものらしきものが見えるが色が真っ黒なので現時点ではあくまららしきものとしかわからない。味わうまでは。
「そっち先に食うか」
「のびるからね、フェットチーネも」
「ああ、だからな」
　まさにそれが理由だった。
「その方がいいか」
「そうかもね、おいらも最初にカルボナーラ食べたし」
「おい、もうかよ」
「うん、もうね」
　淳二は笑って答えた、見れば実際に彼の傍にあるカルボナーラの皿は奇麗に何もなくなっている。
「美味しかったよ」
「食うの早いな」
「早くてしかもね」
「多いってか」
「こっちの世界の早食い、大食い競争にも出てね」
　そうしてというのだ。
「いつも優勝してるよ」
「御前大食漢なのかよ」
「実はね」
　そうだというのだ。
「おいらそうなんだ」
「意外だな」
「いや、小柄で大食いってのも結構いるだろ」
　正もカルボナーラを食べている、そのうえでの言葉だ。
「身体動かしてるとな」
「その分か」
「カロリー使うからな」
「その分動かないとやっていられないか」
「だからな」
　それでというのだ。
「淳二みたいなこともあるだろ」
「そういうことか」
「ああ、驚くことじゃないさ」
「というか皆いつも歩いて動き回ってだから」
　源三も食べつつ言う、彼はマカロニを食べている。
「皆食べてるよ」
「かく言う俺もだしな」　
　久志もこの自覚はあった。
「現在進行形で食ってるしな」
「そうだよね」
「ああ、淳二だけじゃないか」
「そういうことだよ」
「食べないとです」
　最後に順一が言ってきた。