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艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~

作者:V・B
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第四十三話

 
前書き
どうも、E2がいつまでたっても攻略できない、そんなことしてる間に紙面上の戦いがやって来てしまったぜこん畜生。泣いてやるかな。 

 

―前日 二二〇〇―
 
 
 
オレは自分の部屋のベッドに腰かけて、天井を眺めていた。
 
「……………………はぁ。」
 
ため息をつきたくなるのも当たり前で、今日あったことを色々思い出していた。
 
 
 
 
 
 
『えへへ、ボク、木曾と遊ぶのって初めてかも!』
 
『だからどうした。』
 
『んなこと気にしてる暇があったら、この戦争を早く終わらせて、アイツを学校に通わせる事でも考えた方がいいわ。』
 

 
 
 
 
 
「………………………………はぁ。」
 
さっきより大きなため息。
 
…………なんだろ、この敗北感。
 
確かに、オレは『あの日』から、『他人』との付き合いをかなり減らした。その『他人』を守るために。
 
それでも、絡んでくる奴等はいた。その中でもいつもの連中は特にだ。
 
…………正直、関わりなんて持たない方が思ってる。別れるときに邪魔になる。敵になったときに邪魔になる。
 
「…………でも、それでいいのか?」
 
口に出してみると、余計にその疑問が自分のなかで大きくなっていく。
 
『他人』との付き合いを無くすのは不可能だ。そんなことは分かりきってる。だから、できる限り少なく。だけど、そんな『他人』を守るために、最大限の努力を。今日までのオレは、そんな生活をしてきた。それが間違いだったとは思ってない。
 
…………でも。
 
「楽しい…………のか?」
 
今日、珍しく『他人』と遊んだ。千尋に春雨、皐月という面子だった。
 
千尋は、やはりバスケを長いことしてたのか、素人目に見てもかなり上手かった。春雨はどこかぎこちない感じで、それでも一生懸命だった。皐月は、ちょっと荒い所があったけど、運動神経は良さそうだった。
 
そして………………全員、楽しそうだった。
 
全員笑顔で。そんなに広くない屋上の空間のなかを思いっきり暴れまわって。オレも楽しいと思ったさ。
 
他人との付き合いを深く持てば、毎日がこんなにも楽しいのか?
 
だけど、オレ達は仲良しこよしするためにここに来ている訳ではない。
 
深海棲艦と戦うためだ。
 
それは、千尋もわかってるはずだ。
 
「はぁ……………………意味わからん。」
 
オレはさんざん考えた挙げ句、答えが最後まで出てこなかった。
 
………………あー、なんかムシャクシャする。気分転換に少し外でも歩いてこようかな。
 
オレは立ち上がると、自分の部屋から外に出る。夜遅いということもあってか、完全に静まり返っていた。
 
オレは扉を閉めると、とりあえず執務室の方に歩き始めた。恐らく、提督も唯さんも起きて仕事をしているだろう。
 
そう言えば、提督は生きてるのかな。あんな凄惨な事件があったんだ、恐らく唯さんは般若のごとく怒っていただろう。
 
怒った唯さんを止めれる奴はこの鎮守府には居ねぇからな…………吹き飛ばされて終わりだ。
 
そう考えると、この鎮守府には核弾頭みてぇなのがゴロゴロ居るな。ふとしたきっかけで鎮守府が壊れかねん。
 
例えば、
 
「ん、珍しいね、君がこんな時間にここにいるなんて。」
 
オレの目の前にいる第三船隊の旗艦とかな。
 
「いやぁ、唯さんに釘刺されてな。暇だから執務室にでも行こうかと。」
 
「ふぅん、ボクはこれからお風呂なんだけど…………入る?」
 
よくみると、時雨はタオルと着替えを手に持っていた。
 
そう言えば、まだ入ってなかったな。考え事してたら三時間位経ってた。
 
「いいねぇ。んじゃま、先いっといてくれや。色々取ってくる。」
 
オレは時雨にそう言うと、全力で自分の部屋に走った。時雨も待たせるのは悪い…………と言うのは建前で、時雨の服脱いでるシーンを見たい、ってのが本音だ。
 
考えてみろ、この鎮守府の中でも五本の指に入る美少女、時雨ちゃんの生着替え(語弊あり)が見れるんだぞ?至福以外の何物でもないだろう?
 
オレはさっきゆっくりと三分ぐらいかけて歩いてきた道を二十秒で部屋まで戻る。扉を勢いよく開けると、タンスの中から上下の下着とティシャツ、ハーフパンツとバスタオルを持ち、これまた急いでドックに走る。
 
待たせたら悪いからな!時雨ちゃんの生着替え楽しみだぜ!
 
 
 
―入渠ドック―
 
 
 
オレが入渠ドックにやって来ると、既に時雨が扉の前で待っていた。
 
「あれ、入らないのか?」
 
「ん、あぁ、君を待ってたんだよ。木曾の生着替えなんて滅多に見れないからね。」
 
考えることは一緒だった。
 
「さてと、入りますかね。」
 
「うん、そうだね。」
 
そう言うと、オレはニヤニヤ、時雨はニコニコしながら中に入っていった。
 
 
※ここからは、音声のみでお楽しみ下さい。想像力豊かな貴方達なら余裕でしょう? By大淀
 
「ん、時雨、お前おっぱいでかくなった?」
 
「んー、確かにそうかもしれないね。最近胸が苦しくなってきたんだよね。」
 
「恋?」
 
「それは春雨がしてるやつ。」
 
「ほほぅ?なかなか興味深い。後で教えてもらおうか。」
 
「いいけど、ボクか君の部屋でね。多分ここには青葉のカメラあるし。」
 
「あー、確かに。前に大井が北上の写真買ってるの見たわ。」

「ほんと、大井は北上ラヴだねぇ……。」
 
「北上はどう思ってるのやら。」
 
「さぁね?」
 
「ふーん(モミモミ)。」
 
「どうでもいいけど、ボクの胸を揉まないでくれないかな?」
 
「マシュマロみたいな感触ってホントなんだな。」
 
「聞いてないよ。」

「ほれ、オレのを揉んでいいから。」
 
「いや、いい……………………いや、それじゃ、遠慮なく(もにゅん)。」
 
「ん、どうだ?」
 
「……………………マシュマロだね。」
 
「だろ?」
 
「しかし、やっぱり木曾って意外と大きいよね。」
 
「邪魔で仕方ないけどな。」
 
「いつかの将来の伴侶に揉ませないといけないのに?」
 
「いつになるんだよ。」
 
「分からないよ。」
 
「そう言えば、千尋のアホはどうにか終わらせようとしてるな。」
 
「まぁ、当然だけどね。理由とか聞いた?」
 
「んー、なんだろ、若いっていいなぁと。」
 
「殆ど同い年でしょ。」
 
「そう言えばさ、時雨は居ないのかよ。」
 
「なにが?」
 
「恋人。」
 
「居たこともないねぇ。夕立と拓海君の見てたら胸焼けしそうになるからね、自分があんなのになるとか考えられないしね。」
 
「同感だ。」
 
「提督と唯さんも長い付き合いらしいね。」
 
「そりゃあ、幼馴染み同士だし。」
 
「え、そうなの!?」
 
「唯さんが艦娘になってしまったときは提督も泣いたらしいけどね。」
 
「そりゃあねぇ……………………。」
 
「それ以来、一度を除いてずっと秘書艦。」
 
「色々気になる話だね……。」
 
※近日公開予定、『男艦娘 木曾 番外編~提督 大輝と秘書艦 唯~』。お楽しみに。 By作者
 
「なんか今、変な声が聞こえなかった?」
 
「さぁ?」
 
「聞いたことない男の人の声だったよ?」
 
「いや、聞こえてないんだってば。」
 
「〇〇〇。」
 
「バカか。」
 
「そう言えばさ、今日のお昼はどうしてたの?どこでも見かけなかったんだけど。」
 
「ん?あぁ、千尋達と遊んでた。」
 
「なっ…………き、木曾が…………遊んだ…………だと………………!?」
 
「悪いか?オレが他人と遊んじゃ。」
 
「いや、悪くないけどさ…………明日は雪かなぁ…………。」
 
「失礼な。」
 
「それで、どうだった?楽しかった?」
 
「あぁ、楽しかったぜ。オレと千尋と春雨と皐月だったな。全員でバスケしたよ。」
 
「あー、あの屋上に新しくできてた。」
 
「そうそう。やっぱり千尋は上手いわー。流石バスケ部。」
 
「……………………ふぅん。」
 
「……………………なんだよ、言いたいことあるなら言えよ。」
 
「いや、妙に千尋と仲良いよね。天龍並じゃない?」
 
「んー、そうか?まぁ、そうかもしれないが。」
 
「なになに?気になってるの?」
 
「…………まぁな。」
 
「え。」
 
「なんで聞いてきたお前が驚いてるんだよ。」
 
「いや、だって…………ねぇ?」
 
「はぁ………………。何て言うのかな、尊敬してるってのかな?」
 
「尊敬?」
 
「あぁ。オレはほら、殆ど人付き合いをしないじゃん。」
 
「だね。そんな暇があったら訓練するもんね。」
 
「でもさ、今日皐月に言われたんだよ。オレと遊ぶの初めてかもってさ。」
 
「あー…………そりゃあ堪えるね。」
 
「まぁな。でもさ、相当訓練してるはずの千尋はかなりいろんなやつと仲良くしてるんだよな。例えば春雨、例えば間宮さんに羽黒さん、例えば青葉、例えば長門さんとかな。」
 
「確かに、駆逐艦の皆からの評判も良いからね。」
 
「オレが諦めたことを、平気でやってのけてるからさ。すげぇなって。」
 
「そんなに思うなら、やればいいじゃないか。」
 
「……………………知ってて言ってるだろ。」
 
「だよね。君には重いか。」
 
「……………………あぁ。重いね。」
 
「でも、良かったよ。君もまだまだ人間だね。」
 
「艦娘だぜ?」
 
「身体じゃないよ。心がだよ。ほら、大人は何時でも子どもの心を持てるようにさ。」
 
「オレ的には大人ってのはでっかい子供なんだけどな。」
 
「あー、提督みたいな。」
 
「そうそう。」
 
「さてと、そろそろ上がるかな。長話しちゃったし。」
 
「ん、そうだな。」
 

 
 
―木曾の部屋―
 
 
 
 
 
「いいのか?春雨、寂しがるんじゃないか?」
 
ベッドの横には、布団を敷いて寝転んでいる時雨の姿が。今日はオレの部屋で寝るらしい。オレは全然構わないけどさ。
 
「あぁ。どうやら女の子の日らしいからね。」
 
「嘘つけ。アイツは今月は二十四日だよ。」
 
そう言うと、時雨は驚愕の表情を浮かべていた。
 
「…………なんで分かるの。」
 
「そりゃあ、ここにいる全員の周期を把握してるからだよ。ちなみにお前は三日前だったよな?」
 
何でもないという感じで言ったオレ。味方のコンディションは常に把握しないとな。
 
「……………………ほんと、いいやつ過ぎ(ボソッ)。」
 
「なんか言ったか?」
 
「なにも?」
 
時雨はぷいっと顔を背けて、布団を被る。
 
「…………どうやらね、千尋が『始祖だからどうした』みたいな事を言ったらしいんだよね。」
 
すると、時雨はボソボソと言った。確かに、言ってた。
 
「泣いてたよ。」
 
「…………そうか。」
 
オレはそう言うと、部屋の灯りを消す。
 
「……………………おやすみ、木曾。」
 
「……………………おやすみ、時雨。」
 
オレはそう言うと、布団を頭から被った。
 
 
 
そうしないと、時雨に泣いているのがバレそうな気がした。
  
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。前書きでもちらりと触れましたが、紙面上の戦いが迫ってきました。そのため、来週はおやすみさせて頂きます。次回更新は十二月十日です。身勝手をお許しください。

それでは、また次回。 
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