八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百三十一話 梅酒その二
この柿ピーはだ、今も食べていてよく合っている。美味しい。
「この梅酒にもね」
「あっさりしてるわね」
「本当にね」
ラブポーンさんもダオさんも言う、梅酒と柿ピーの組み合わせはとだ。
「飲めるしね」
「ええ、いい感じでね」
「やっぱり魔法よ」
「日本のね」
「だからそれは違うからね」
またこうした話になってだ、僕は二人に少し苦笑いになって答えた。
「魔法ではないからね」
「魔法みたいに美味しい?」
「そうした組み合わせなのね」
「そうだよ、これは本当にね」
柿の種とピーナッツを両方一度に口の中に入れて奥歯で噛み砕いて食べる、それからロックのよく冷えた梅酒を飲んだ。
お口の中で広がる最高の味わいを楽しみつつだ、僕は二人に話した。
「企業の人達の努力だよ」
「あくまでそうなのね」
「美味しいものを作ろうとするそれなのね」
「そうだよ、九十九パーセントの努力とね」
エジソンの言葉をここで思い出した。
「一パーセントの閃きでね」
「生まれたものね」
「そうなのね」
「そうだよ、天才的というかね」
エジソンの言う天才をここで思い出した。
「努力と閃きが合わさってね」
「そのうえで生まれ出た」
「それが柿の種なのね」
「うん、他にもね」
僕は柿ピーを食べつつまた言った。
「おかき系じゃないけれどキットカットとかたけのこの里も凄いね」
「日本のチョコレート菓子ね」
「うん、あれもね」
ダオさんに答えた、勿論きのこの山も外せない。とはいっても僕は実はたけのこの里派なのでまずこちらが思い浮かんだのだ。
「凄いものだよ」
「確かにどっちもいいわね」
「滅茶苦茶美味しいわね」
「あとコアラのマーチもよくない?」
「アイスだと雪見大福ね」
「大福っていったら苺大福もいいでしょ」
「あれもいいわね」
二人は飲みながら日本のお菓子の話をはじめた。
「どれも努力の結果ね」
「努力と閃きが合わさって出来たのね」
「あんな美味しいお菓子が生まれたのね」
「日本で」
「うん、それこそ努力しないとね」
本当にだ、これは絶対だ。
「そこに閃きも必要だけれど」
「閃きは何時来るかわからないしね」
「問題は努力よね」
「必死に努力してね」
「そこで閃きが合わさればいいのよね」
「そうなんだよね、閃きはね」
もう一つの要素はというと。
「こればかりはね」
「何時来るかわからないわね」
「そればかりはね」
「そうなんだよね、本当にね」
人間ではだ、こればかりはどうしようもない。
それでだ、僕はこの閃きについて首を傾げさせつつ二人に話した。
「神様が授けてくれるものだからね」
「仏様ね」
ラブポーンさんはこう言い換えてきた。
「そうね」
「ああ、仏教だから」
「そう、私も仏教徒だからね」
タイは仏教の国だ、何しろ国王陛下も仏教徒でなければならないと定められている程だ。そのうえで全ての宗教を守らなくてはならないとされている。
「こう言うわ」
「仏様がだね」
「授けてくれるのよ」
閃き、それをというのだ。
「もうこれはどうしようもないわね」
「そうだよね」
「人間ではね」
「こればかりはね」
「努力してもね」
「最大限そうしてもね、けれどね」
閃きは何時下りるかわからない、それでもだ。
「努力も一緒にないと」
「そっちも絶対に必要なのよね」
「そうなんだよね、何といっても」
「人間が努力するだけじゃね」
ラブポーンさんは梅酒を飲みつつ言った、中々いい飲みっぷりだった。
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