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ヘタリア大帝国

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197部分:TURN19 イーグル=ダグラスその八


TURN19 イーグル=ダグラスその八

「そしてガメリカを立て直す」
「あら、ガメリカはそんなに腐ってるかしら」
「少なくともまだ不充分だ。正義と自由はな」
「完全には為されていないかしら」
「日本帝国が許せないならどうしてエイリスと同盟を組んでるんだ?」
 エイリスへの反感をだ。ダグラスはありのままクリスに話す。
「あの国の植民地は日本の比じゃないからな」
「数もね」
「あそこの搾取は半端じゃねえ。けれどそのエイリスとガメリカは手を組んでいる」
「それが間違っている」
「ああ、本来ならエイリスを真っ先にぶん殴るべきだ」
「けれど今のガメリカにはそれができない」
「ガメリカの中にも腐った奴が多い。ふざけた犯罪者も多いしな」
 ガメリカは近頃凶悪犯罪が目立っているのだ。
「だからな。俺は」
「そんなガメリカの国内を立て直して」
「そしてエイリスみたいな国も許さない」
「そういう国にするのね」
「その為に俺はガメリカの大統領になる」 
 そうした意味でのヒーローだった。ダグラスが目指すヒーローは。
「映画俳優で終わりじゃないんだよ」
「映画ね。実はね」
「実は?」
「貴方のデビュー作だけれど」
 クリスは何処か夢見る少女、しかも憧れの対象を前にした顔になりだ。そのうえでダグラスに言ってきた。
「私何度も観たのよ」
「おや、俺のファンだったのか」
「そうだと言えばどうかしら」
「有り難いな。こんなところにも俺のファンがいるなんてな」
 ダグラスは機嫌のいい笑みになってクリスに返した。
「じゃあサインでもしようか」
「それはもう持ってるわ。貴方の直筆をね」
「そうか。それじゃあ今は」
「私の見たところ貴方は」
 クリスは今度は占い師の顔になった。
「大きな運命の中にいるわ」
「運命?」
「ええ、そして貴方の人生はこれから最も輝く時を迎えるわ」
「俺がヒーローになるのか」
「そこまではわからないけれど」
 だがそれでもだというのだ。
「貴方の運命は大きく変わるわ」
「そうなるのか」
「ええ、間違いなくね」
「そうか。それじゃあな」
「それじゃあ?」
「その輝く時を楽しませてもらうぜ」
 不敵な笑みだった。ここでも。
「思う存分な」
「そう言うと思ったわ。それでこそね」
「イーグル=ダグラスっていうんだな」
「やっぱり貴方は私が思ったいた通りだったわ」
「銀幕の中の俺と現実の俺は同じか」
「完全にね」
「俺は飾ることはしないさ」
 例えそれが銀幕の中でもだというのだ。
「俺は俺だ。変わらないさ」
「そうね。けれどそうできる人はね」
「少ないか」
「映画俳優は演じるものよね」
「そうさ。それが仕事だからな」
「けれど貴方は演じながらも貴方のままだった」
 そうだったというのだ。かつてのダグラスもまた。
「そこに憧れたのよ」
「それで演技力はどうだったかな
「言うまでもないと思うけれど」
 微笑みで返すクリスだった。
「私はお芝居には五月蝿いのよ」
「そうか。じゃあ演技力も確かだったんだな」
「折り紙付きだったわ。そしてその貴方が」
「ああ、大統領だ」
 それになりだというのだ。
 
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