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夢幻水滸伝

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第二十八話 呉からその十一

 結果として広島城には僅かな守りの兵しか残らないことになった、だが芥川はこのことについては笑って言うだけだった。
「今の広島城は物資の集積地でな」
「兵を置く必要はないな」
「そや」 
 その通りだというのだ。
「別にな」
「そうやな、やっぱり」
 既に朝になり軍勢はそれぞれの場所に向かっている、中里達もそれは同じで彼は広島城の天守閣の方を振り返って見つつ芥川に応えた。
「物資を集めて呉や萩に送れればな」
「今の広島城はええやろ」
「後方基地やな」
「その通りや、それでな」
「広島城がか」
「今回の戦の最重要拠点や」
 芥川はこう中里に話した。
「何ていうてもな」
「やっぱりそうか」
「大坂城からも瀬戸内からどんどん物資を送る」
 この城からもというのだ。
「そして中国の物資はな」
「広島城からか」
「送る、九州に上陸したらな」
「広島から呉、そして海からやな」
「どんどん送るで」
「瀬戸内の制海権を握ってやな」
「そうする、制海権は吉川に任せる」
 水軍を率いる彼にというのだ。
「これからの海での戦に勝ったらな」
「もう安心してか」
「九州にどんどん物資を入れていくわ」
「物量作戦でいくか」
「最新型の鉄砲や大砲を送ってな」
 芥川は中里に強い声で言った。
「今うちが持ってるな」
「火縄銃とかやなくてか」
「マスケット銃や」
「そっちの銃か」
「もう装備はじめてるけどな」
「その銃をもっとやな」
「持って行って大砲もや」
 こちらの兵器のことも話した。
「それもや」
「前のより軽い新型をか」
「九州に持って行く、砲弾も爆裂弾を使うで」
「あれをか」
「どんどん撃ってや」
 そしてというのだ。
「押してくで」
「今回戦は数と技術やな」
「敵の兵が強いからな」
「そういうので押してくか」
「勿論術でもな」
 そちらでもというのだ。
「敵にはええ陰陽師がおるけど」
「それでもやな」
「そうした術もこっちの方が上や」
「僕も陰陽術使えるしな」
「この連中もな」
 芥川は今は自分達のすぐ後ろに馬を並べて進んでいる四人を見た、言うまでもなく中里は鵺、芥川は九尾の狐に乗っていて玲子は松風である。
「おるしな」
「いい加減で適当やけど術も使えるからな」
「それを使ってもらうわ」
「そうするか」
「真面目にな」
「うち等いつも真面目ですよ」
 四人は二人に即座に言い返した。
「もうこれ以上はないまでに」
「もう真面目で勤勉で」
「まさに最高の傭兵やないですか」
「いい加減とか適当とか酷いですわ」
「昨日も夜遊んでたやろ」
 芥川は反論する四人に即座に言い返した。
「酒やジュース飲んでスナック菓子食ってボードやカードのゲームして」
「ちゃんと軍議出てましたやん」
「仕事の後は遊ぶもんですよ」
「寝るまでは」
「そやからええですやん」
「城の見回りとかするもんやろが」
 芥川は言い返し続ける四人にこうも返した。 
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