夢幻水滸伝
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第二十八話 呉からその一
第二十八話 呉から
中里は軍勢を素早くまとめるとだった。彼等を率いて芥川と共に都を出た。その時にだった。
芥川は自分の隣にいる中里にこう言った。
「途中姫路とかで中原とも合流してな」
「そしてやな」
「井伏や山本も入る」
軍勢の中にというのだ。
「そのうえでの戦や、あとな」
「四国の連中もやな」
「合流するで」
「西国の力を結集させてか」
「九州と戦う、十万の兵でな」
「多いな」
十万と聞いてだ、中里は思わず言った。
「これまでの戦で一番多いな」
「言うまでもなくうちの主力や」
「今のうちの総兵力の半分以上や」
「それだけの兵でやな」
「攻める、勿論水軍も参加する」
「吉川もか」
「そや、それでな」
ここでだ、芥川は。
後ろにいる例の四人組の方を見てだ、中里に言った。
「あの連中もおる」
「ほんまあの連中やな」
「そや、あの連中や」
こう言うのだった。
「おるからな」
「数合わせとして最適やな」
「指揮官も数いるしな」
「ほな今回も使うか」
「そうしような」
「何か凄い嫌な言い方しますね、先輩達」
「うち等も強いのに」
その四人が二人に口を尖らせて反論した。
「何ですかその言い方」
「最近も内政に頑張ってたのに」
「何か適当な数合わせみたいで」
「戦かて頑張ってますのに」
「その通りやろ」
中里も四人には辛辣に言う、その目は咎める感じで口は尖っている。
「自分等は」
「そや、自分等は能力はともかく性格が問題や」
芥川は彼等のその問題点を直接本人たちに指摘した。
「適当でいい加減やからな」
「ちょっと目を離したらすぐにさぼるしな」
中里もこれまで見て来たのでわかっている。
「芥川も言うけれどいい加減やからな」
「報酬分はちゃんと働いてますで」
「それに曲がったことは絶対にしませんし」
「ええですやん」
「何も問題ないのに」
「何処が問題ないんや、とにかくや」
中里はさらに言った。
「自分等怠けてたら即刻報酬減らすからな」
「うわ、それはないですわ」
「うち等お金で動いてるのに」
「それあんまりちゃいます?」
「えげつないですわ」
「それが嫌やったらちゃんと働くんや」
四人に正論で返した。
「ええな」
「息抜きもあかん感じですな」
「堅苦しいの嫌いやのに」
「契約通りにしててこう言われるなんて」
「紫先輩とえらい違いですわ」
「綾乃ちゃんは優しいからな」
今度は芥川が言った。
「そら自分等にも何も言わんわ」
「それどこそかいつも褒めてくれますで」
「ええ子達やって」
「頑張ってるって」
「励ましてもくれますし」
「そやからそれは綾乃ちゃんやからや」
人格者である彼女だからだというのだ。
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