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ヘタリア大帝国

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TURN14 マジノ線攻略その十二

「恐るべきはあの艦ですね」
 ロンメルは艦のことに言及した。
「あの娘の開発されたあの艦あってのことです」
「その通りだ。潜水艦か」
「姿が見えない艦」
「まさに亡霊だ」
 それだとだ。マンシュタインはその潜水艦というものを評した。
「そしてその亡霊がだ」
「ええ。我々に勝利をもたらしました」
「では勝利を完全なものにする為に」
「ええ。今から」
「全軍突撃だ」 
 マンシュタインはまたこの命令を出した。
「この戦いはそれで終わる」
「それでは」
 ロンメルが応えてだ。そのうえでだった。
 ドクツ軍は突撃を仕掛けた。それによってだ。
 連合軍は総崩れになり戦いは終った。パリは程なくして陥落しプロヴァンスも占領された。オフランスは完全にドクツの軍門に下ったのだった。
 オランダとベルギーはドクツに投降し彼等の中に入った。しかしイギリスは。
 今回も命からがら戦線を離脱した。そのうえでだ。
 ダンケルクに向かっていた。その時に己の妹に問うた。
「おい、どれだけ生き残ってる」
「我が軍ですね」
「ああ、どれ位だ」
「五割を。かろうじて」
「維持できてる位か」
「全滅というものではありません」
 全滅は損害の三割だ。だがそれ以上の損害だったのだ。
「我々はまたしてもです」
「負けちまったな」
「決戦だったのですが」
 イギリス妹も無念の顔だった。
「ですが」
「勝てる筈だったんだよ」
 イギリスは苦い顔で言った。
「今回は絶対にな」
「私もそう思っていました。ですが」
「何に攻撃されたんだ」
 まだこのことがわからなかった。彼等には。
「急に何処かから攻撃を仕掛けてきてな」
「そうしてでしたね」
「本当に何だったんだ」
 まさにだ。今のイギリスの顔は幽霊に後ろから斬りつけられた顔だった。
 そしてその顔でだ。今妹に言うのである。
「あれは」
「何だったのでしょうか。本当に」
「ドクツの奴等は幽霊船でも使ってるのかよ」
「あの暗黒宙域の木造船でしょうか」
 イギリス妹はこの船の話を出した。
「あれなのでしょうか」
「いや、あれだと姿が見えるだろ」
 だから違うと言うイギリスだった。
「別の船だ。ただな」
「しかしそれが何かというと」
「わからねえ。だがこの戦いのことはな」
「はい、女王陛下にお伝えしましょう」
「その前に何とか生き残ってる奴等を逃がすんだ」
 今はこのことが先決だった。だからこそ彼等は今ダンケルクに向かっているのだ。
 その中でだ。イギリスはまた言った。
「いいか、今はな」
「はい、今は」
「ドクツの奴等は追ってきていないんだよな」
「プロヴァンスの占領に取り掛かっています」
「よし、じゃあ今のうちだ」
 撤退するというのだ。
「ダンケルクからすぐにロンドンに戻るぞ」
「わかりました。それでは」
「とにかく急げ。今のうちだ」
 とにかくだ。今が大事な時だった。
「逃げるぞ。早くな」
「了解です」
「それでは」
 こうしてだ。エイリス軍は何とか戦場を離脱できた。しかしだ。
 彼等は今回も敗れた。そして無念さを胸に本国に逃れたのである。そして。
 フランスもだ。妹と共に戦線を離脱していた。その彼はだ。
 意気消沈した顔でだ。こう己の妹に尋ねていた。
「これから何処に行けってんだ?」
「王族の方も皆ドクツに投降されましたし」
「それで離宮に軟禁だよな」
「はい」
 そうなるとだ。妹は兄に答えた。
「そうなります」
「だよな。じゃあ俺達も」
「いや、まだ手はあります」
「あるのかよ」
「シャルロット様がおられます?」
「シャルロット?ああ」
 この名前を聞いてだ。フランスもふと気付いた顔になった。
 そしてそのうえでだ。こう妹に言うのだった。
「あの娘か」
「はい、先王陛下の四女の」
「あの娘がまだいたか」
「今マダガスカルにおられます」
「じゃあマダガスカルまで落ち延びるか?」
「それがいいかと」
 これがフランス妹の提案だった。
「そしてそのうえで」
「もう一度か」
「再起を計りましょう」
「そうだな」
 フランスも妹の言葉に頷いた。そのうえでだ。
 彼等はマダガスカルに向かった。残った僅かな艦隊と共に。
 戦いは終わりドクツはオフランスを占領した。彼等は一つの目的を果たしたのである。


TURN14   完


                      2012・3・20
ヘタリア大帝国

150部分:TURN14 マジノ線攻略その十二

TURN14 マジノ線攻略その十二

「オフランスとの戦いにだ」
「恐るべきはあの艦ですね」
 ロンメルは艦のことに言及した。
「あの娘の開発されたあの艦あってのことです」
「その通りだ。潜水艦か」
「姿が見えない艦」
「まさに亡霊だ」
 それだとだ。マンシュタインはその潜水艦というものを評した。
「そしてその亡霊がだ」
「ええ。我々に勝利をもたらしました」
「では勝利を完全なものにする為に」
「ええ。今から」
「全軍突撃だ」 
 マンシュタインはまたこの命令を出した。
「この戦いはそれで終わる」
「それでは」
 ロンメルが応えてだ。そのうえでだった。
 ドクツ軍は突撃を仕掛けた。それによってだ。
 連合軍は総崩れになり戦いは終った。パリは程なくして陥落しプロヴァンスも占領された。オフランスは完全にドクツの軍門に下ったのだった。
 オランダとベルギーはドクツに投降し彼等の中に入った。しかしイギリスは。
 今回も命からがら戦線を離脱した。そのうえでだ。
 ダンケルクに向かっていた。その時に己の妹に問うた。
「おい、どれだけ生き残ってる」
「我が軍ですね」
「ああ、どれ位だ」
「五割を。かろうじて」
「維持できてる位か」
「全滅というものではありません」
 全滅は損害の三割だ。だがそれ以上の損害だったのだ。
「我々はまたしてもです」
「負けちまったな」
「決戦だったのですが」
 イギリス妹も無念の顔だった。
「ですが」
「勝てる筈だったんだよ」
 イギリスは苦い顔で言った。
「今回は絶対にな」
「私もそう思っていました。ですが」
「何に攻撃されたんだ」
 まだこのことがわからなかった。彼等には。
「急に何処かから攻撃を仕掛けてきてな」
「そうしてでしたね」
「本当に何だったんだ」
 まさにだ。今のイギリスの顔は幽霊に後ろから斬りつけられた顔だった。
 そしてその顔でだ。今妹に言うのである。
「あれは」
「何だったのでしょうか。本当に」
「ドクツの奴等は幽霊船でも使ってるのかよ」
「あの暗黒宙域の木造船でしょうか」
 イギリス妹はこの船の話を出した。
「あれなのでしょうか」
「いや、あれだと姿が見えるだろ」
 だから違うと言うイギリスだった。
「別の船だ。ただな」
「しかしそれが何かというと」
「わからねえ。だがこの戦いのことはな」
「はい、女王陛下にお伝えしましょう」
「その前に何とか生き残ってる奴等を逃がすんだ」
 今はこのことが先決だった。だからこそ彼等は今ダンケルクに向かっているのだ。
 その中でだ。イギリスはまた言った。
「いいか、今はな」
「はい、今は」
「ドクツの奴等は追ってきていないんだよな」
「プロヴァンスの占領に取り掛かっています」
「よし、じゃあ今のうちだ」
 撤退するというのだ。
「ダンケルクからすぐにロンドンに戻るぞ」
「わかりました。それでは」
「とにかく急げ。今のうちだ」
 とにかくだ。今が大事な時だった。
「逃げるぞ。早くな」
「了解です」
「それでは」
 こうしてだ。エイリス軍は何とか戦場を離脱できた。しかしだ。
 彼等は今回も敗れた。そして無念さを胸に本国に逃れたのである。そして。
 フランスもだ。妹と共に戦線を離脱していた。その彼はだ。
 意気消沈した顔でだ。こう己の妹に尋ねていた。
「これから何処に行けってんだ?」
「王族の方も皆ドクツに投降されましたし」
「それで離宮に軟禁だよな」
「はい」
 そうなるとだ。妹は兄に答えた。
「そうなります」
「だよな。じゃあ俺達も」
「いや、まだ手はあります」
「あるのかよ」
「シャルロット様がおられます?」
「シャルロット?ああ」
 この名前を聞いてだ。フランスもふと気付いた顔になった。
 そしてそのうえでだ。こう妹に言うのだった。
「あの娘か」
「はい、先王陛下の四女の」
「あの娘がまだいたか」
「今マダガスカルにおられます」
「じゃあマダガスカルまで落ち延びるか?」
「それがいいかと」
 これがフランス妹の提案だった。
「そしてそのうえで」
「もう一度か」
「再起を計りましょう」
「そうだな」
 フランスも妹の言葉に頷いた。そのうえでだ。
 彼等はマダガスカルに向かった。残った僅かな艦隊と共に。
 戦いは終わりドクツはオフランスを占領した。彼等は一つの目的を果たしたのである。


TURN14   完


                      2012・3・20
 
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