レーヴァティン
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第二十八話 団長の依頼その三
「そして市民にも」
「最悪の事態だな」
「そうなっているということなので」
その最悪の事態にというのだ、久志が今言った。
「この城まで至られていますと」
「もう終わりだな」
「そうでござる」
確かに堅固で護りやすい城だが、というのだ。
「民を護ることも出来ておらず」
「民を護る、か」
「騎士は何の為にいるのか」
「あれだろ、やっぱりな」
アーサー王等で得た知識からだ、久志は答えた。
「人を、力のない民を護る」
「そうでござる、自分では戦えない者を護る」
「それが騎士だからか」
「それが出来ず、でござる」
「この城を守ってもか」
「意味がござらぬ」
それも一切という口調での返事だった。
「最早」
「そういうことか」
「若しこの街を攻められてもでござる」
「城壁は破らせないか」
「何があろうとも」
「それが絶対か」
「そうでござる」
そうあるべきだというのだ。
「我等騎士団の者はそう考えているでござる」
「いい考えだな、やっぱりな」
「民を護らずして、でござるな」
「何の意味もないぜ」
それこそとだ、久志も応えた。
「民を護れずしてな」
「何の為の騎士か」
「そして政治だな」
「この島にも民を苦しめる悪政を為す領主はいるでござるが」
「論外だよな」
「その通りでござる、ですから」
「そうした奴もか」
正を見て言った。
「倒さないとな」
「ならぬと考えているでござる」
「じゃあそうした奴の領土から取って行くか」
久志は統一の為の戦のことも考えた、所謂悪徳領主から倒してというのだ。
「そうしていくか」
「それがいいですね」
「乗っ取ってもいいね」
順一と源三は久志の今の言葉に微笑んで応えた。
「そうした領主の領地って民衆の支持が少なくてこちらに協力してくれることも期待出来るし」
「そして彼等を悪政から救うことにもなります」
「まさにいいこと尽くしだよ」
「そうした領主の土地はどんどん取っていきましょう」
「だよな、じゃあ今から」
「はい、これより」
また進太が久志に応えた。
「内城に入りそして」
「団長さんと挨拶だな」
こう話してだった。
「世界を救う旅に出るってな」
「その時が来たと」
「話をしに行くか」
「これより」
こう話してだ、そしてだった。
一行は内城に入った、内城の正門も堅固で護る門番の兵士達の装備もよかった。その門をくぐって。
中に入るとだ、その中もだった。
堅固で武張ったものでだ、久志は赤い絨毯が敷かれ石の廊下を進みながら周りを見つつ言った。
「本当にお城だな」
「宮殿ではなく」
「質素だな」
「そして堅固でござるな」
「実用第一だな」
つまり戦を念頭に置いたものだというのだ。
「本当にここは」
「この通りです」
進太は微笑み久志に話した。
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