レーヴァティン
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第二十八話 団長の依頼その二
「団長殿は」
「だから例えだよ」
「そうでござるか」
「ああ、本当に物事ってのはな」
正もこう言うのだった。
「急に変わったりするからな」
「流れであっても」
順一も話に入った。
「まさにです」
「変わるよな」
「些細なことで」
「そうしたら流れをまた戻すってな」
「非常に難しいです」
「そうだよな」
「経済でもスポーツでも政局でも戦局でもです」
そうしたあらゆることでというのだ。
「流れがあり」
「急に変わったりするからな」
「世の中は難しいのです」
「あれだよな、野球だとな」
正は今度はこのスポーツ、こちらの世界は存在していないものの話をした。
「ボール一球投げてな」
「ああ、その一球でな」
「試合の流れ変わるよな」
「そんな場合あるな、下手したらな」
久志はこうも言った。
「ペナント自体がな」
「決まったりするよな」
「流れがな」
「こんなことあったよな」
正が今度出した話はというと。
「危険球投げてな」
「その危険球でか」
「ペナントの流れが決まるとかな」
「それは確か」
進太は危険球の話を聞いてこの話をした。
「ヤクルトと巨人の」
「ああ、そのカードでのことか」
「開幕から二試合目にです」
まさにペナントがはじまったばかりだ、開幕気分が残っている。
「巨人の桑田投手がヤクルトの飯田選手に危険球を投げて」
「それでか」
「桑田投手が退場となり」
その危険球でだ、よく巨人寄りの審判がいると噂されていてそれはおそらく真実であろうがその場合でも危険球は別ということか。
「そこからです」
「ペナントの流れが決まったのか」
「左様でした」
一九九五年の話だ、この一球からヤクルトの流れになりヤクルトは見事日本シリーズまで至りシリーズでも勝った。
「その様に」
「一球でペナントが決まるか」
「その場合もあります」
「流れって怖いな」
「そしてですね」
「そのきっかけもな」
たった一球、長いペナントの中でのそれでとだ。正は言った。五人でそうした話をしてだった。
進太の任務の後で団長のところに言った、団長は街の中のあの質実剛健な造りのそれだからこそ壮麗な城のところまで来た。
そしてだ、久志はその城を見てあらためて言った。
「いい城だな」
「そう思われますか」
「ああ、如何にも守りやすくてな」
「はい、まさにです」
「この城が最後の守りか」
「そうです」
その通りだとだ、正は久志に答えた。
「この城は」
「そうなんだな、やっぱり」
「はい、しかし」
「しかし?」
「そもそもこの城まで来られるということは」
そうした事態はとだ、進太は久志に話した。
「街の中にも入られていて」
「城壁を破られれていてな」
「街にも被害が出ています」
そうした状況に陥っているというのだ。
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