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夢幻水滸伝

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第二十七話 浮島の内政その十

「どの国も強かや」
「あっちの世界でもこっちの世界でもな」
「こっちの世界やとオセアニアと一緒に南洋になってるしな」
「太平洋の覇権を争う相手の一つや」
 そうした立場だというのだ、彼等もまた。
「これはどの地域にも言える」
「経済侵略をさせる相手か」
「そもそも経済侵略とか成り立つ話か」
「貿易がそうであるか、か」
「そんなん何もわかってない連中が言うてるだけや」
「気にすることないか」
「というかそんなん言うてる連中こそええ暮らししてたりする」
 前述の似非グルメ漫画の原作者なぞどれだけの印税を貰えたかわからない位だ、間違いなく富裕層にある。
「大学の先生とかマスコミ関係者とかな」
「そうした高収入の仕事でか」
「ええ暮らししてるわ」
「その経済侵略とやらで得たお金でやな」
「これこそ嘘の極みやろ」
「その通りやな」
「そうしたアホな論理もアホな論理言う奴もおらん」
 幸いなことにとだ、芥川は工場の状況を見つつ中里に話した、工場の中は隅から隅まで掃除されていて整っている。
「そやからな」
「貿易は気兼ねなくやってくか」
「そうした連中がおってもやってくけどな」
「そうするねんな」
「そや、ええものをどんどん造ってや」
 そうしてとだ、またこう言うのだった。
「売るんや」
「そして儲けて国を豊かにする」
「どんどんな」
「そうしていって力をつけて」
「世界の統一や」
「わかりやすい話やな」
「口で言うとな、ほなやるで」
 芥川の声は実に明るかった。
「そうした政をな」
「そうしていこか」
 中里も頷く、そしてだった。
 三人は工場を見て回った、それは満足のいくもので綾乃は役所に帰ってから二人に笑顔でこう言った。
「合格やな」
「そやな、あの状況やとな」
 芥川が笑顔で応えた。
「充分や」
「そやな」
「あれやったらや」
 まさにというのだった、芥川もまた。
「どんどん動いてもらってな」
「ええ手拭い造ってくれるな」
「そうなるわ、手拭いの工場にな」
「他の綿のもんもやな」
「造ってもらえるわ」
 そうなるというのだ。
「話したけど下着も服もな」
「どれもやな」
「そや、何でもな」
 綿で造られるものならというのだ。
「勿論麻とか絹もな」
「そっちのもんも造って」
「どんどんビジネスにするで、あとな」
「あと?」
「軽工業だけやなくて」
 それ以外にもというのだ。
「重工業もやってくで」
「どんどんやな」
「ほんまにな、産業育成や」
「豊かになるには努力が必要やな」
「そやで、自分もそれがわかってきたな」
「結構なつもりや、ほなやってくで」
 その政をというのだ、そしてだった。 
 三人で浮島を見て回って農業ももう一度観た、そして中里は水田が広がっているのを見てこんなことを言った。
「この光景見てるとな」
「ええって思えるやろ」
「ああ、ほんまにな」
 実際にとだ、笑顔で見ている綾乃に話した。 
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