夢幻水滸伝
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第二十六話 浮島その十一
「そやから先の話や」
「そやねんな」
「問題は働く連中、労働者の賃金と労働時間」
「酷使は控える、か」
「そや」
そこが問題だというのだ。
「社会問題にもなるしな」
「産業革命からの話やな」
「ブラック企業はあかんってことや」
これが芥川の考えていることだった、彼はこのことも太宰そして綾乃と綿密に話しているのだ。
「要するにな」
「そういうことか」
「富めるものはある程度まで豊かになってもらって」
「貧しい者は上げる」
「そうせなあかん、けど基本金払いの悪い扱いの悪い会社には行かん」
人はというのだ。
「ブラック企業は問題になれば潰れるやろ」
「存在自体がアウトやけどな」
「事前に光を当てればええが」
そして悲劇を事前に防げればベストだというのだ。
「それが出来ん場合はな」
「問題を起こした会社を糾弾してか」
「以後そうした会社が出ん様に対策をしてく」
「それが政治か」
「そや」
まさにというのだ。
「僕等のやることや」
「そういうことか」
「マルクスもある程度は正しいんやろ」
「労働問題自体はか」
「それの話もあくまである程度やけどな」
「十九世紀の話やしな」
「あっちの世界は二十一世紀でな」
そしてというのだ。
「こっちの世界ではこっちの世界の事情がある」
「そやから労働問題もか」
「マルクス通りにはいかん、こっちの世界でもマルクス通りにやるとな」
政治、それをだ。
「ソ連かナチスみたいになるわ」
「ナチスは社会主義やしな」
「共産主義とはちゃうけどな」
ヒトラーは反共を旗印に掲げていた、それで政権に就いた一面もある。
「それでもな」
「国家社会主義は、か」
ナチスの政策であるそれはというと。
「ソ連の共産主義と一緒か」
「一国共産主義とな、スターリンの」
「それでああした政策になるか」
「そや」
まさにというのだ。
「全体主義的政策な」
「それになるか」
「それでああして無茶な国になる」
「そう思うとな」
「こっちの世界でもあかん政治システムや」
共産主義国家はというのだ、この場合ナチスも入る。どちらにしても全体主義だからだというのだ。
「最悪北朝鮮や」
「あそこまでなるか」
「最悪の最悪、下の下以下や」
「共産主義でもか」
「あそこはもう何かわかわんわ」
芥川にしてもというのだ。
「世襲の共産主義やからな」
「有り得んシステムやな」
「けどそんな有り得んシステムもな」
「最悪の場合出るか」
「可能性はある、そしてそこを支持するアホが出る可能性もある」
「あっちの世界の日本みたいにやな」
「そや、可能性はある」
そちらのそれもというのだ。
「ゼロやない」
「嫌な話やな」
「幸いこっちの世界はマルクスのマの字もないけれどな」
「それは有り難いな」
「あとどの国も、イスラム圏以外は色々な宗教が混在してる」
そうした宗教状況だというのだ。
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