夢幻水滸伝
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第二十六話 浮島その七
「凄い移動基地になるな」
「軍事のな」
「ああ、そうなるな」
「流石六武星の一人、実際にな」
「それが出来るか」
「今それが出来る島を探してな」
そしてとだ、芥川も綾乃を見つつ中里に話す。綾乃は微笑んで二人に顔を向けている。
「他の国と戦う基地にするつもりや」
「そうするんやな」
「神星の強大な力やと出来る」
その浮島を動かすことがというのだ。
「特に三極星はそれが上手く出来る」
「浮島を動かすこともやな」
「神星は誰でも動かせるけどな」
「三極星、つまり綾乃ちゃんはか」
「特に上手や」
「何か三極星は格が違うな」
神星の中でもとだ、中里はしみじみとした口調で言った。
「ほんまに」
「そやな、けど島を動かすんや」
芥川は中里にこのこと自体についてあらためて話した。
「こんなどでかい島をな」
「今僕等も動かせるな」
「ああ、試しに動かしてみい」
芥川は中里に笑って返した。
「実際にな」
「動けって念じればええんか?」
「その上に立ってな」
つまり今の状態でというのだ。
「そうして前に進むなり後ろに行くなりな」
「思えばええか」
「ああ、試しにそうしてみい」
「わかった、ほなな」
中里は芥川の言葉に頷き実際にだった、彼等が今いる島に前に進めと念じた。すると歩く位の速度で。
島は前に動いているのがわかった、周りの空の景色が動いたことによってそれがわかった。地齋にそすいて動かしてみてだった。
中里は考える顔になってだ、芥川に言った。
「ほんまに動いたな」
「そやろ」
「歩く位の速さやな」
「この速さで進めるんや、もっと速くすることも出来る」
「そうなんやな」
「それで動かしてみて他にもわかったやろ」
「ああ、何かな」
浮島を前に進ませつつだ、中里は芥川に答えた。
「少しずつでもな」
「気力消耗してる感じがするやろ」
「少しやったら何でもないけどな」
「これを何十キロ、何百キロや」
それだけ進ませるというのだ。
「かなりしんどいやろ」
「確かにな」
「そやから島を動かすのもな」
「大変やねんな」
「そや、まあ慣れると気力も消耗せんようになるし」
「慣れるとか」
「それで綾乃ちゃんはや」
その三極星の彼女はというと。
「走る位の速さで僕等よりも遥かに楽に進める」
「そやねんか」
「そや、かなり凄いやろ」
「綾乃ちゃんの凄さがあらためてわかったわ」
綾乃を見つつだ、中里は唸った。
「凄いな」
「いや、ただ何となくやで」
「何となくでそんなん出来るんか」
「そやかてうちが三極星になってるんはたまたまやし」
綾乃自身はいつもの調子で笑って述べた。
「島を動かせるんも」
「それもかいな」
「そや、特にな」
これといってというのだ。
「凄いことやないで」
「ここでもいつもの綾乃ちゃんやな」
「というかうちは自分が凄いとはな」
「思ってへんか」
「これ慣れたら中里君達も上手に出来るし」
他の神星の者達もというのだ。
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