夢幻水滸伝
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第二十五話 五騎星その十二
「他の勢力がでかいのばっかりや」
「そやからやな」
「どうしても見劣りするんや」
「技術についても」
「技術はアメリカがダントツや」
そちらは何といってもというのだ。
「もうな」
「そっちはか」
「ああ、人口は中国でな」
「その二つの勢力が一番厄介か」
中里も言った。
「敵の中では」
「そや、南洋も中南米も厄介やが」
「あの二国は別格か」
「こっちの世界でもな」
「ほな二国が一番統一に近いか」
「太平洋、ひいては世界のな」
芥川はすぐに中里に答えた。
「下馬評ではそうや」
「あっちの世界でもそうか」
「そうや、けどうちはな」
日本、あちらの世界のこの国はというと、
「星の奴が多い」
「それが強みか」
「そや」
このことを言うのだった。
「統一すれば三十人はおる」
「多いな」
「まああのええ加減な奴等はな」
例の傭兵四人組はというと。
「どっかに雇われるかもな」
「ああ、あいつ等か」
「まああいつ等はな」
「それでもええか」
「妙に憎めん奴等やけど」
確かにいい加減でもだ、芥川も彼女達に悪いものは感じてはいないのだ。人間としても能力でも。
「まあおったらおったで働いてもらって」
「敵やったらか」
「戦うしかないわ」
「連中はそうか」
「そうや、まああの連中を外してもな」
「星の奴は多いか」
「実はあと十人程おる」
あちらの世界の日本に星の者はというのだ。
「その連中にも来てもらってや」
「星の奴の力、人材でか」
「戦う」
そうするというのだ。
「僕等はな」
「そうした考えか」
「そや」
まさにというのだ。
「というかうちはそれしか出来ん」
「人材で戦う、か」
「そういうこっちゃ。国力では圧倒的に劣勢や」
太平洋の諸勢力の中でだ、芥川はこのことを誰よりも自覚していてそれで今中里にも話しているのだ。
「あっちの世界の日本の人口は一億四千万や」
「多いけどな」
「南洋は十億や」
東南アジアとオセアニアの全ての国々を合わせてというのだ。
「アメリカは五億、中国は十八億や」
「何処も多いな」
「中南米は十二億おる」
「それで産業もあるか」
「何処も日本以上か日本より多少低い位や」
「そんなもんか」
「ああ、アメリカに至っては科学が発展しててな」
魔術の類だけでなくだ。
「こっちの船にもその技術使ってたな」
「吉川のあの船か」
「石炭で動く船な」
それだというのだ。
「他にもあってしかも発展し続けてる」
「それで太平洋での最先進地域か」
技術的にはとだ、中里は芥川に問うた。
「あの国は」
「あの世界で産業革命が出来てるのはアメリカだけや」
「元々は欧州やろ」
「こっちの世界ではな」
「あっちの世界ではちゃうか」
「そや」
そうなるというのだ。
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