夢幻水滸伝
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第二十五話 五騎星その十
「そちらの話も興味深い、そして私達は」
「ああ、敵同士でもか」
「誇りを以て誓っている」
「敵同士でも礼節は護る、やな」
「そうだ、円卓に座っているのだ」
「アーサー王のあれか」
「如何にも」
その通りだとだ、セルバンテスは中里に答えた。
「我々はな」
「ほな統一したらか」
「円卓に座る騎士達都としてだ」
その考えに基づいてというのだ。
「あの世界を統一し世界を救う」
「つまり僕等ともやな」
「戦い降す、その時を楽しみにしていることだ」
「ああ、そうしとくで」
中里は余裕のある笑みを浮かべてセルバンテスに答えた。
「こっちも統一するしな」
「その前に我々は女帝、雷帝と対しなくてはならないだろうがな」
「あの二人とか」
「彼等は明言している」
エカテリーナ、タゴールの彼等はというのだ。
「やがてはだ」
「ロシアとインド、中央アジアからメソポタミアそして北アフリカに至る広大な地域を統一したらだ」
「次は欧州か」
「飲み込むとな」
つまり侵略により併合するというのだ。
「そう言っている」
「それでか」
「彼等に対する為にな」
「まずは欧州を統一してか」
「彼等を倒す、それからだ」
「僕等か」
「その時に雌雄を決しよう」
今度はマロリーが言ってきた。
「いいな」
「望むところや、ではな」
「その時に戦おう」
「ではな」
こう話してだ、彼等はお互いにそれぞれの世界での再会の時を祝してだ。そのうえで別れたが。
中里達を見送ってからだ、ヘッセは同じ五騎星の面々に強張った顔で言った。
「凄い目だな」
「うん、よくわかってるね」
アリギエーリも微笑んでいるが目の光は真剣なものだった。
「人が」
「適材適所を考えているな」
ヘッセはまた言った。
「太平洋の神星達のそれを」
「将の中の将、だな」
ユゴーはこれはこれはという顔で笑いながらも凄いものを見たというものであった。
「彼女は」
「流石三極星の中でも首座ということか」
マロリーはもう遠ざかっている綾乃の背中を見ていた、その背中は至って普通の女子高生である。
「神魁星か」
「神具と術の力も相当と聞くが」
セルバンテスの声は唸っていた。
「最も恐ろしいのは目だな」
「あの人を見抜く目ならば」
ヘッセはまた言った。
「適材適所が出来ていて必ずな」
「日本を統一して」
「次は太平洋か」
「そして太平洋を栄えさせる」
「そうなりそうだな」
「只でさえ巨大な太平洋だ」
そこにある人口、資源はかなりのものだ。浮島も多くあちらの世界での人口や資源は世界の約七割ある。
「その太平洋が栄えるなら」
「余計に強くなって」
「そしてその力でか」
「世界を制する」
「そうなるな」
「ロシアとインドも手強いが」
しかしと言うのだった、ヘッセはここで。
「太平洋が第一か」
「どうやら我々は恐ろしい敵を持った様だな」
ユゴーはまだ背中を観ていた、既に見えなくなっている彼女のそれを。
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